アサートン高原には大ベテランのアランギランダーというネイチャーガイドがおり、野鳥だけでなく植物や動物全般に詳しい上にその控えめで優しい性格から多くの人に慕われており年齢的にもケアンズ地区における『元祖ネイチャーガイド、総本山で第一人者』ともいうべき存在。しかし彼も70歳になり今年いっぱいで一線からリタイヤすることを表明。ただ完全に辞めるわけではなく、自分の時間を多く取りつつも気に入っている仕事は少しはやっていきたいというスタンス。
しかし旅客運送事業というのはそうした『中途半端な存在』を許さない。やるのであれば商用自動車保険や政府からの認可、車両安全検査、国立公園営利使用認可、応急処置資格、賠償責任保険うんぬんカンヌンが山のように押し寄せ、$1売り上げる前から$8000くらい持っていかれるので『少しだけ仕事にする』なら何もしないほうがいいという世界。
そこで彼は考えた。では誰かの会社の客分従業員として在籍しながら仕事をすれば、自分でそうした保険や認可などを少量の仕事を合法的にするために保持する必要はなく共有できる。彼の偉大なところは、大物のなのに少しもそういったプライド的なものを見せないところにある。彼にはPという半ば弟子のような存在の若手自営業ガイドがおり、誰しもがPが来年からアランギランダーの仕事を継承するものと思っていたが、コロナ禍でPはガイドの仕事が消滅し前職の教員に戻ってしまいツアー会社としての体制を畳んでしまった。そこで次に白羽の矢が立ったのが近所に住んでいる私である。私もコロナ禍で2年半野鳥ツアーはしていなかったが、畳むことなくそれを貸切バス会社業に大転換するという大技で生き残り、いつでもツアーができる体制を維持していたからだ。ということで来年からかなりの確率で
AAK Nature Watchの従業員【アランギランダー】
という衝撃が見られると思う。15年前は神様のようにも見えた人と、今こうしてほぼ対等の立場で仕事や鳥の話ができるというのは感慨深い。一介の外国人が、オーストラリア人と結婚することもなくめちゃくちゃ頑張ってここまで猛スピードで登ってきたと言ってもいいんじゃないだろうか。
もう何ヶ月も前の話になってしまったが、その辺の打ち合わせをしにアランの家に行ってきた。
流石に30年も住んでいるだけあって、彼の自宅野鳥リストは200種を超えており私の自宅兼民宿ジョンストンベンドの野鳥リスト163種を圧倒する唯一の個人宅である。
直線距離なら数キロしか離れていないアランの家と私のジョンストンベンドだけど、ジョンストンベンドにはいない鳥がいくつもいるのが興味深い。標高も同じ、植生も同じ。
例えばこのサメイロミツスイ、メジロキバネミツスイとかなんでうちにはでないんだろう??
AAK Nature Watchバスをチェックするシラフミツスイ。