普段の砂漠は昼間は暑く夜は寒く、雨は降ることはない。ただ今回は雨季の真っ只中だ。暑くかつ雨が予想される場合のキャンプは普段とは設定条件が異なるので、出発前に庭でシュミレーションを行った。
4WDに取り付けるオーニングはポピュラーだけど、それらが作り出すドライ面積はあまり広くなく、私は以前持っていた270度自立式オーニングを処分し、車の後部だけをカバーする1.4mオーニングを何年か使ってみたけどそれも気に入らず、今年からガゼボに回帰した。ガゼボの方がカバーできる面積は圧倒的に広い。このバニングスだけで売っているコールマンのガゼボは畳むとわずか長さ95cmという大型三脚程度のコンパクトさで、かつたったの$120。もうこれでいいじゃない。
この下で蚊帳を吊ってコットで寝ればいいと思ったけど、想定外の敵も現れ後半ではまたモデルチェンジした。その話はまたおいおい。私は10代半ばから単独で山に登っていた人間で次第に高価な先鋭的な道具へ進んだ後に、またUターンしてホームセンターなどの普及品も多様するようになるような面白い変遷を辿っている。
自宅があるアサートン高原から国道6号線が通るヒューヘンデンの街への62号線250kmが洪水で通行止めのため、グリーンベールの村を通る63号線を初めて通って迂回。およそ1時間半のロスながら、私はこれまでに走ったことがあるオーストラリア大陸の道路を地図上で塗りつぶす、という密やかな道路コレクションをしているため、この迂回自体は苦痛ではない。人口250人、最寄りの町まで200kmのグリーンベールってどんな村だろうとずっと思っていたがなかなか凄いところだった。
かつて海の底だったオーストラリア中央部は平らな飛行場のような地形が広がっていて、時々生じる洪水の際は起伏がないため水が一本の川に収束せずにあっちこっちに広がって無数の流れを作る。Channel Country(用水路地方)という表現もあるように、普段は水が流れていない筋をいくつも超えていく。
拠点になる町マウントアイザまでは1日半の道のりだ。最初の晩のキャンプでは夜になった途端に数十万の蛾に襲撃され、明かりをつけることも料理をすることも全く不可能になって車の中へ避難しそのまま寝ることになった。ほらな、オーストラリア内陸部は平野なのになぜ人類がほとんど住んでいないのかがわかる。
マウントアイザの街で最後の買い出しをした後は関係者にちょっと会って、早速セスジムシクイが分布している地域へ移動。日没までの間に若干の探鳥をした。最初の野鳥はハジロナキサンショウクイのメスだった。
ジョージタウンあたりに多くいるノドアカムジミツスイは成長以外は喉が赤くない。クレナイミツスイのメスのような顔をしている。
こちらはちゃんと喉が赤いノドアカムジミツスイ。
音程の外れた変な歌で知られるコシアカヒバリモドキもたくさんいる。
カオグロモリツバメは全行程を通じて見かけた。山地ではヒメモリツバメと入れ替わる。
セスジムシクイと誤認されることが多いマルオセッカ。この地域にお準固有種的な野鳥だけど、こんなにあちこちにいたかな?というくらい連日見聞きした。
ユーカリに擬態している野性のセキセイインコ達。嬉しいことにセキセイインコもオカメインコもまあまあの数がマウントアイザ郊外の山地には飛来していたので連日楽しませてもらった。
ちょっと珍しいエクリプスを見せるセアカオーストラリアムシクイ。赤い部分の換羽だけ先に始まって黒い部分は忘れてきたのだろうか??
2018年にマウントアイザツアーに参加したとき、拙い下調べをしたのですが、どうしてもChannel Countryの邦訳がわかりませんでした。
眼から鱗。ありがとうございました。