ルートのない山野を歩く上で生命線になり、科学的な野鳥調査データの元となるGPSの使用方法を指導する私。今年のB班は戦力にならなかった2名がいたもののセスジムシクイ調査の経験者が1人おり、彼と組ませた若手も優秀だったのでなんとか課せられた地区の調査を終えられた。
昔からセスジムシクイ調査にあるジレンマで、仕事を休んで2週間もボランティアに来れてかつ大型4WDや冷蔵庫などの装備を持っている若手などほとんど存在せず、一方で年配者は時間があって装備は整えられても体力面およびセスジムシクイ類を見つける鍵になる高音域における聴力、テクノロジー面でかなりヤバい人が多く、この両者をどう融合させるかが長年の課題になっている。
集合写真のために集まる調査員たち。この人数が集うのは初日と二日目の朝だけであとは原野に散り散りになる。
なお私は短パン+ゲイターという通称「キーウィ・スタイル」または「オセアニアスタイル」でセスジムシクイ調査に出るようになった。海外トレッキングなどの記事でよく見るスタイル。このスタイルは風が通り抜けて涼しく、汚れや濡れにも強く荷物が減る上に休息時は簡単に短パンだけになれるメリットもある。2週間で長ズボンが3枚いるのと短パンが1-2枚でいいのとでは結構なスペースの節約になる。「洗濯すればいい」というのはその辺に水がある恵まれた世界の人々の考えで、ここには水など存在しない。一枚の長ズボンを手洗いするのに3kgの水がいるとして、3kgの枠があれば6枚のズボンを持っていくことができる。洗濯なんて甘い世界ではないのだ。一切洗濯しなくていいように私は半袖シャツは十数枚(日数分プラスアルファ)も持ってきている。
ゲイターを超えてスピニフェックスや枝は刺さってくるので足の皮膚を鍛えることで初めてできるスタイルであり、鍛錬を経て私も昨年からようやくこの現地スタイルができるようになった。
それに色白のシティボーイがこんな格好してもちゃんちゃらおかしいし。
セスジムシクイ調査2021年度版の報告はこのまとめ動画をもって終了。今年は記録的なパーセンテージでセスジムシクイが発見され、さらに乾季になってもなお雨も時折降っていることから「2021年後半にもう一度繁殖調査をしよう」なんて物騒な意見も出ているけどどうかな。現役世代として一年に2回も2週間のボランティアに行くのは。とりあえずまた来年。