ケアンズを出発しヨーク半島開発道路を北上しても1日ではアイアンレンジには到達しないし、ちょうど中間地点付近に重要な探鳥地がありそこで一泊してから進むのが定番になっている。

キビタイヒスイインコはその最大たるものだ。推定生存数50羽程度とされる彼らのその希少性はもとより、近くで見るととんでもなく美しい野鳥でもある。これは確認できる足輪により8歳のオス、通称「レフトブラック」。大半が一年目を生き残れない状況において、8年間生存しているという50羽の中で最も優秀なオスの1羽。なんだかすぐそこにいるように見えるかもしれないけど、これはコーワの望遠鏡TSN-88にアイフォンを取り付け、さらに3−4倍のデジタルズームをしている。一眼レフのレンズに換算すれば3000mmくらいの途方もない望遠撮影をしている。一眼レフで野鳥をとって20年になるけど、一眼レフでは絶対に写せない構図の一枚。

こんなサイズでコモンチョウを撮ったことももちろんない。10秒くらいじっとしていてくれる相手には、望遠鏡+スマホがこれから猛威を振るうだろう。一時期流行ったのに廃れてしまったデジスコとの違いは、コンデジではなく普段のスマホを使うところにあり、またスマホと望遠鏡との間に高価でごちゃごちゃした様々なアダプターが必要ないところ。システムが往年のデジスコよりさらに軽量で小型なところ。そして観察と撮影が数秒以内で切り替えられるところ。

一方で一眼システムはこうした動くものを担当する。「アフリカにしか見えない」と言われるレイクフィールド国立公園北部の草原地帯を飛ぶウスユキチュウヒ。この付近はオーストラリア屈指の猛禽地帯であり、半日で10種類くらい見かけることもある。

再びキビタイヒスイインコの2年目オス。こちらは足環をつけられていない天然物だ。望遠鏡+スマホシステムではそんなレベルの拡大映像が、野鳥が逃げていかない遠距離から撮れる。

アイアンレンジに入って驚いたことはその路面のグチャグチャ具合だ。出かける前にも週間天気などはずっとみており、問題がなかったのでお気に入りの長靴をわざわざ家に置いてきたのに裏目に出た。長靴がなければ車から降りたくないレベルの泥濘地帯だ(写真はニューギニアトリバネアゲハのメス)。その辺の写真はFacebookにいくつかアップしたのでここではもうあげない。

翌朝から本格的に探鳥を始めるがとにかく森は静か。エリマキヒタキやオオウロコフウチョウなどを拾っていくがペースは良くない。

それでもラッキーだったのは不安定なシラボシリュウキュウガモがいっぱいいたことだな。30羽以上。これも望遠鏡+スマホ撮影。池対岸にいるような野鳥を500mm程度の一眼でどう撮ったって退屈な小さな写真にしかならない。

このアイアンレンジ2025の冬。この異常気象を私は当分忘れないだろう。毎日のように雨が降り、冬の弱い日光と低い気温ではそれらは全く乾ききらないうちに次の雨が降り続く。現地の人によれば「まだ雨季は明けてないよ(6月下旬)」という酷い話だった。2022年もなかなかヤバかったが、あれはアイアンレンジに限らずケアンズを含む全域が200日くらい雨が降っていたので覚悟はできていたが、2025年はアイアンレンジだけで降っており、さらにその雨量は決して大きくないために天気予報サイトなどからではわからないのが落とし穴だった。

まあさ、これだけ地面がぐちゃぐちゃになっていていいことといえばカエルやヘビが喜ぶくらいじゃない?とか話してたらスポテッドパイソン登場。これはこれでいい動物なのだけど、別に探していない。なお写真の汚い光は昨年からテストしているオーストラリアのガレージブランドの新しいコンセプトのトーチで、中央に全光量を集中してカメラのオートフォーカスを夜間に動作させることに特化したオタク向け小型トーチだ。中央の20cm四方以外はほとんど何も見えず、写真で投光パターンを見ると本当に醜いマニア専用機だ。近くにいるような動物相手に使うライトでは全くない。

どれだけ地面が湿っているかという証明、巨大なウォーターパイソンが道路にいる。後ろに写っている人間とサイズを比べてみてほしい。この2種類以外にもミナミオオガシラ、オレンジネイプドスネーク(毒)など今回は様々なヘビが夜間ドライブに登場した。なおこの写真は一般的なヘッドライトによるフラットで美しい投射。