Site icon 【公式】オーストラリア唯一の日本語専門バードウォッチングガイド 太田祐(AAK Nature Watch)

ケープヨーク深南部 その8[被災地から生中継]

ラウラ川バードウォッチングを終えて川辺へ戻って来てみると周囲が騒がしい。「水位が下がって来たからそろそろ渡れるぞ!」という事らしく、濁流への突入準備などが行なわれていた。防水シートを張っていたりチェーンをつないだり。いや、まだ無理だろこれは!え?お前のチッサイ車では無理だ?そりゃすみません。

オージー的には「そろそろ車で渡れるぞ!マイッ」「問題ないぜマイッ!」状態の川

その幅400m以上。橋や道路が沈んでいるのではなくてそもそも橋も道路もない。日本なら自衛隊でも渡らんぞ。



ということでランドクルーザー70軍団の挑戦を高みの見物。皆が見守る中、オージー臭全開の一号車がいよいろラウラ川へ挑む!!というか服装とか積み荷の中身とかも全体的におかしいだろ!

おおー渡った渡った!(歓声、拍手)

続いてランドクルーザー2号車と3号車も突進!

そして…2台とも埋まった。。奥さんと赤ちゃんと犬が乗ってる。車内は浸水が止まらない。やばい!周りでも怒号が飛ぶ。「エンジンを止めるな!(止まった瞬間にマフラーから水が入って来て廃車になる)」「引っ張りだせ!」「急げ!」ランドクルーザー70の4号車が鎖を持って救出へ突入。

なんとか引きずり戻した。群がるオージー達。ドアを開けると、どしゃーという感じで水が車内から出て来た。ケープヨークは本当に恐ろしい世界だ。しかしこれだ、ランドクルーザーという車は日常的にこういうことをする為の車なのだ。オーストラリアでは水中走行用シュノーケルが少なくない車種で標準装備なのも納得してもらえるだろう。。。と、今度は対岸組からランドクルーザー70も真っ青、最強の車両が登場。

トラクター!なにしろ田んぼの泥の中を走るように作られた車両だからなぁ。軽々と川を横断し、また川を渡って戻っていった。一体何を??

なんと、トラックを引っ張って川を渡ろうと!いや、それはさすがに無理だろ!やめておけって!

やっぱり埋まって撃沈。罵声が飛ぶ。トラックの運転手はひょろひょろのアジア人で、台風接近のニュースに焦ってこれ以上積み荷が遅れると大変な事になる、「今しかない!」とトラクターに牽引を頼んで川に突っ込んでいったらしい。トラックはエンジンまで水没し廃車。4WDではないという。いくら何でもそれは…。

なんやかんや罵りながらもみんなで助けようとしたけど失敗。トラックは重すぎる。っていうかまだ相当深いし、水流の強さを見てみろ。水が引くまで無理だ、という結論で川の中に放置された。沈黙が訪れる川岸。

結局ランドクルーザー2台が渡っていったけど、トラックが轟沈し、後の2台の四駆も危ないところだった。

そんな中、後日ケアンズにも大きな被害をもたらすことになるサイクロンが私たちに接近していた。水位はこれ以上は下がらず、むしろ大きく上がってくるだろう。

立ち往生開始から48時間、私がラウラ川を突破するまであと17時間。(その9へ続く

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