Site icon 【公式】オーストラリア唯一の日本語専門バードウォッチングガイド 太田祐(AAK Nature Watch)

セスジムシクイ調査ボランティア2週間 2017年版その9(完)ハイイロハヤブサ

ハイイロハヤブサ

このハイイロハヤブサ。僻地に分布していることもあり、前述のクロオビトビと並び「オーストラリアで未見の最後の猛禽」の定番である。1年間で700種以上を観察した元祖オーストラリア版ビッグイヤーで有名なショーン・ドーリーはハイイロハヤブサを評して「実在なんてしない野鳥」と書いている←何度も探しにきたが、結局その1年間で見つかることはなかったという意味。


左が成鳥、右は巣立ち前の幼鳥。


昔、ジョンヤングのDVDを繰り返し見てハイイロハヤブサの飛び方を頭に叩き込んでいた頃を思い出して泣けてくる。


まともにハイイロハヤブサを写真に撮ったのは初めて。

さあ、あとこの旅で残すところはサビイロセスジムシクイだ。またセスジムシクイ…?と言われそうだがクィーンズランド州には5種類のセスジムシクイが分布しており、それを一回のロードトリップで全部撮影した人間は私が知る限りまだいない。最後の一種はサビイロセスジムシクイといって、近年までノドジロセスジムシクイの亜種の一つだったが独立種に昇格したものである。三年前に私はそれを探しにきてスピニフェックスからスピニフェックスの間を猛スピードでダッシュしていったのを一回だけ見たが写真に残せなかった。サビイロセスジムシクイはまだ新しいので、バーダーの世界でポイントなどがまだ確立していないこともあって難しさの中では上位に入る。ブログを見ているとグレッグ、キース、ローリーなどオーストラリアの第一線のバーダー達も苦戦している。


ちなみにこれが比較対象となるノドジロセスジムシクイ。目的のサビイロセスジムシクイはこのノドジロセスジムシクイから独立した。なおノドジロは私が知っているセスジムシクイ8種類の中で最も簡単で見つけるまで2分もかからなかったし、朝だけで4グループ10羽以上見つかった種だが、古い日本語のHPで「難しすぎる」「魔法のよう」「結局見れなかった」「最も難しい」と書いている人もいたから(笑)、当然探し手にもよると思う。


声がかすかに聞こえたのでしばらく隠れていると、あっいた!


お〜サビイロセスジムシクイ(メス)の撮影に成功!三年間で積み上げたバードウォッチング経験は一般の週末バーダーの15年分くらいになる。もうその頃とは私は全然レベルも違うでござるよ。まだ身体的能力は衰えていくような歳でもないし。


こちらはオス。


さらに別のメス。こうしてみるとサビイロセスジムシクイは名前の通りかなり錆色が強く、もとのノドジロセスジムシクイとは確かに異なる種類に感じる。
2017年発行、最新のオーストラリア野鳥図鑑であるAustralian Bird Guide【通称ABG】では各野鳥の見つけづらさを5段階で格付けしている。今回の旅でその最強のレベル5に属しているのは例えばシロハラセスジムシクイマミジロセスジムシクイムナジロセスジムシクイクロオビトビハイイロハヤブサ。図鑑製作時にはまだ別種になっていなかったこのサビイロセスジムシクイもおそらくレベル5グループに入ると思うが、これらレベル5の6種類を特に苦労なく次々見つけられたのでよかったと思う。

「クィーンズランド州に生息している全セスジムシクイ類5種を一回のロードトリップで撮影した初の人間」というマニアしかわからない記録も残した。この結果を是非ガイドに使いたいが、日本の人は誰もセスジムシクイ5種類ツアーなんて予約しないのは明白だけどね。(完)

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