Site icon 【公式】オーストラリア唯一の日本語専門バードウォッチングガイド 太田祐(AAK Nature Watch)

ケープヨーク深南部 その4「真夜中の突撃」

(事態は緊迫するばかりでさすがに写真は全然撮影していない)

熟睡していたので気がつかなかったのだけれど、深夜二時頃目をさました時にはスタックしている5台のうち3台が既に川を渡って姿を消していた。残っているのは最初からいる3台。真っ暗なのが怖いけど、川はへそくらい位まで水位が下がり確かに何とかなりそうだった。日本ではとんでもないけどね。私を除く二台のうち、軽めのマツダの4WDにのった釣りのおっさんがいよいよ突撃!

向こう岸近くで埋まりかけひやっとしたけど通過!おめでとう!ランドクルーザーに乗った政府の二人は「私たちも行く、でもあんたを放っておくわけにはいかないから先に渡れ。埋まったらウインチで我々が助け出す」と。いや、埋まって廃車になっても困るから私は安全に渡れるまで気長に待つよといって断。「じゃぁせめてこの電話を持っていろ、ケアンズに帰れた時に返してくれればいい」とこの僻地でも通話が可能だった携帯を差し出してくれた。まぁこれもお断りした。二人は、「無理そうだったらハンリバーロードハウスまで60kmオフロードを走って戻り助けてもらうんだ」と。グッドラック。さすがランクルはボンネットまで水没しながら河原を軽々と突破。大したもんだ。

さて、誰もいなくなってしまった。冷静になって考えなくてはならない。時は深夜。最寄りの店まで200kmという、誰もいない僻地の川岸に取り残され目の前には氾濫した川が。ここを超えない限り文明には帰る事が出来ない。ライトを持って川に入り、何度も対岸まで往復してみてルートを探る。危険そうな枝とかをいくつも撤去。対岸近くのボトムが柔らかい所が一番危険。その手前で浅くなっているから一気に加速して乗り越える作戦。流れの向きも考えて、追い風(追い水?)となるように計算。…いける。

ただ、夜中だし誰もいないしという2点がどうしてもストップをかける。気になるのが少し雨が降っている事だ。再び増水が始まるってしまっては深刻な状況になる。悩みつつ何度か川を歩いて往復する。

そんな事をしている内に、水の勢いは随分弱くなって来ている。対岸近くの川底が柔らかい付近も、なんどもそこを探って通れそうな所に目印を打ち、今なら渡れると確信。行くぞ!

それは深夜3時過ぎ。立ち往生開始から12時間経過。十分にエンジンを温めておいてから計画ルートへ突入。上流側からすごい水圧がかかるけどカヌーのテクニックでいう所の”フェリーグライド”で水しぶきを上げながら前進し川の中央付近から予定通り右!左!とハンドルを切り対岸に到着!いやーこの動画を日産に上げたい(撮ってませんけど)

私 「アサヒ、突破したよ!」

アサヒ「ぴぃー!!」

でもこの先にもう一本あるんだよね。来る時ですら、もうそれなりに水深があったラウラ川が…。

Exit mobile version