Site icon 【公式】オーストラリア唯一の日本語専門バードウォッチングガイド 太田祐(AAK Nature Watch)

タスマニア島2018 その1

ホバートの眺め

タスマニア島はオーストラリア本土と南極との間に存在する大型の島で、周辺の小島とともにタスマニア州を構成している。
南緯42度という高緯度地方にしては哺乳類や野鳥の豊かなところであり、メルボルンから飛行機で1時間というアクセスも決して悪くはない。シドニーを経由してもいい。今回は古くからの知人の個人的な案内で6度目のタスマニア州訪問になった。秋冬は悲劇的な低温と風雪に見舞われるタスマニア州では訪問は夏の間に限られる。もちろん海鳥マニアなどは別だが。

南緯42度付近といえば地球を一周してももうあまり陸地のない緯度である。他にはニュージーランドの南島の南部や南米のパタゴニアなどであり、それらの国々と同じような強い風と澄み渡った空気や水が魅力。

タスマニア州にしか見られない固有の野鳥が12種類もいることが売りの一つだ。経験上その中で一番難しいメジロヤブムシクイのポイントの開拓にまず行った。この時はまだ誰も到着しておらず、一人での偵察。

そしたらいきなりいた。それもあちこちに。しかしそれ以外の野鳥は乏しいところであり結構歩く必要もある。もしメジロヤブムシクイが最後まで残ってしまったらみんなでここに来ることにしよう。

それにしてもケアンズは40度を超える暑さだったのにタスマニアの山間部ではこの日雪がチラついていた。もう何回か来ているので備えは万全だが、ここでは短パン半袖からダウンジャケット、毛糸の帽子に手袋マフラー長靴まであらゆる衣類が必要になる。今日は良くても明日には20度上がったり、逆に20度下がったりするし半月くらいずっと雨だったりする。初めてタスマニア島に来た時はテント泊だったのだけど、2度から30度まで変わりまくる気温の中で準備不足で低体温症寸前までいった。それも無数にあるいい思い出である。

モリガラスはワタリガラスの仲間だ。全域に豊富に見られる。メルボルンやシドニー付近と異なり、タスマニア州ではカラス識別合戦はない。

メンバーが到着したがあいにくの雨。この緯度での雨は冷たくて厳しい状況ではあるが近郊の探鳥地をいくつも回る。写真は固有種二つ目のタスマニアオグロバン。この手の鳥としてはその大きさは異様であり、寒冷地であることを想起させる。ホバート在住の鳥仲間から珍鳥アメリカオグロシギ情報を聞いていたがこの朝は発見できず。ただしナナクサインコ、キイロオクロオウム、モモイロインコ、ジャコウインコなどを追加。

ゴマフガモ、クビワアカツクシガモ、ミカヅキハシビロガモ、アオクビコガモ、シラガカイツブリ、ムナジロウ、ミナミオオセグロカモメ営巣などオーストラリア南部系の水鳥をたくさん見る。

昼食をとっている間だけ晴れ間が見えたが、その後は再び冷たい雨となり雨宿りを挟みつつの限定的探鳥になる。ワライカワセミやルリオーストラリアムシクイ、キリハシミツスイ、クロフエガラス(タスマニア固有種3つ目)、サンショクヒタキなど。最初の哺乳類となるベネットワラビーも。

固有種4つ目となるキミミダレミツスイ。これはインパクトのある野鳥でミツスイ類で最大。誤変換で「君乱れ ミツスイ」になった笑。ホバートより2時間遅れてくる潮を見計らって迷鳥アメリカオグロシギに再アタック。

いた!!オグロシギの色彩にオオソリハシシギ的嘴、明瞭な白い眉班、幅狭目の白い腰、などの識別点がこの写真からでも得られるが

アメリカオグロシギが万歳した瞬間を撮った人もいた。黒い翼の裏側!これは絶対的な識別点になった。いやーこんなところで一種増えて708種になった。

堤防を歩いていたハシブトカモメ。そのバナナのようなクチバシに敬礼。

ふと脇の砂浜が目に入って、「こんなところって(絶滅危惧種の)ズグロチドリ が暮らせそうな所だねー」と双眼鏡を目に当てたら

いきなりその画面内にズグロチドリ がいるという幸運。ただこれも今までの膨大な積み重ねがあっての発見であるのは間違いない。

水浴びとかしてるし。二羽いた。
(その2へ続く)

タスマニアのツアー詳細

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