Site icon 【公式】オーストラリア唯一の日本語専門バードウォッチングガイド 太田祐(AAK Nature Watch)

セスジムシクイ調査ボランティア三週間 その7

一夜明けて。

昨夜は真っ暗な時間にたどり着いたので周囲の状況がわからなかったが、そこは川沿いの素晴らしいキャンプ地だった。この鳥類調査用に予め了承を得ている私有地で、静かで、鳥も多い。緑と光溢れるこの空間は、何千キロも赤土の大地を走ってきたものにはまた格別の癒しを提供してくれる。

ケアンズから何千キロも離れたこの原野の中でグラハム博士他、何人もの馴染みの方々と再会。早速地図や調査用具といった備品を受け取り川辺でミーティングが開かれた。でもいつものことながら、自宅を出る前に打ち合わせやデータ交換は済ませておけばいいのに…。ワキアカヒタキやホオグロオーストラリアムシクイが視界をチラチラし、気が散って仕方ない。



順番が狂ってしまったが、前日の映像。


奥地への出発は明日のため、日中は一旦自由時間。

なお同行のタカラ君はローンヒル国立公園の写真を撮りに歩きに行ったが、私はこんな奥地まで来てもこの数日メール返信やツアー手配に追われ、この何百キロかで唯一電波が入るところであるレンジャー事務所前の机で仕事に忙殺される。一応旅行業の一種である私だが、おそらく今日最も辺鄙なところで営業している日系の旅行会社だという確信があった。

携帯の電波が入るということは感動的なことで、オーストラリアでは未だに9割の国土で圏外。車で走っていて久しぶりに電波が入るたびに、留守電があることを知らせる携帯メールが大量に届く。そんな生活日本人には想像できないだろう。



これは野営地の目の前の川だけど、ローンヒル国立公園も同じようにその独特なういろう色(私は生まれ育ちは名古屋市)の水で有名。水中の豊富なカルシウム成分によるものという。


水面は周囲のメラルカ湿地林を反射し、どこまでが水面かわからなくなるような特異な景観を作り出す。なおローンヒル国立公園はオーストラリア人にはそれなりにメジャーな国立公園だけど、私のランキングにおいてもトップ5には入る展望素晴らしい地だ。今回は仕事してて写真がないので景観については昔の記事をみてください。



なおこれが日本でほぼ紹介されたことがないであろうワキアカヒタキであり…



ホオグロオーストラリアムシクイ。ホオグロオーストラリアムシクイの繁殖羽のオスはオーストラリアでも一番美しい野鳥の一つだと思う。

翌朝、4WDの隊列は野営地を出て数時間の悪路大移動に出発する。ローンヒル国立公園は東京都や神奈川県よりも大きい国立公園ながら、一般の人が訪れているのは東側中央のほーんの一部だけであり残りは訪れる人もいない、というかまともな道さえない。そこはランドクルーザーかハイラックスだけが許される世界。

スペアタイヤのスペアを積んだ車、シュノーケルをつけた車、巨大な無線アンテナをつけた車、シャベルを取り付けた車…、そしてほぼ全車が動物を撥ね飛ばすためのブルバーを装備。


そんな世界にSUVのくせに無理矢理同行し、かなりのダメージを受けた。結果として二週間ほどしてギアボックス交換という大手術を受け、二ヶ月ほどしてさらに大変なエンジン周りのトラブルに見舞われ何十万円も費やすことになる。

ランドクルーザーかハイラックスでないと仲間にも迷惑をかけるし、しばらくして新車でランドクルーザーを買うことになった。これまでよく頑張ったと思う。



オナガキンセイチョウ。

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