Site icon 【公式】オーストラリア唯一の日本語専門バードウォッチングガイド 太田祐(AAK Nature Watch)

セスジムシクイ調査ボランティア2週間 2017年版その2

ムナグロオーストラリアムシクイ

ムナグロオーストラリアムシクイ(Variegated Fairy-wren)のオス。というのは2017年までで、この亜種assimilis2018年にPurple-backed fairywren(公共性のある和名は現時点で存在しない)へと昇格した。調査中はそれはそれはいろんな鳥が出ているが、両手に荷物満載なのであまり撮れる状態ではない。遊びに来てるのじゃないしね。


こんな池のほとりで何泊かキャンプを張っていたのだけど、池に映り込むリバーレッドガム(ユーカリ)の美しさに見惚れていた。


これは水面に反射しているリバーレッドガム。こんな鏡のような沼がアウトバックにあるなんて信じられますか?


調査中に希少種であるムナジロシマコキン(Pectrel Mannikin)も記録した。セスジムシクイ調査の肝はその遠隔僻地っぷりであって、全く登山道も何もない土地をセスジムシクイがいそうな場所を求めて歩く。これは暑さに慣れた健康な人じゃないと参加できないし、健康なだけでも野山のスキルが足りなければ一切道もない原野で簡単に遭難すると思う。それも探す相手はオーストラリアの野鳥の中でも難しさで5−6番手に挙げられることが多いムナジロセスジムシクイである。能力のわからない人がボランティア参加希望して来た場合は、高い周波数が何処まで聞き取れるかといったテストもされる。あとオフロード走行の技術や装備も必要。


陽が沈むアウトバック。人工的なものの何もない原野に漂うこの心地よい緊張感。そしていよいよ前半のハイライト、ヘリコプターを使った遠隔地調査へ。そもそも、いまいる場所だって限られた人しか立っていることのできない遠隔地であって、そこからさらに4WDでも届かないようないくつもの調査地点をカバーするのがヘリコプター調査である。
以前メディア関係の人と話していて「ウチらもヘリはしょっちゅう乗りますよ」と言われてカチンと来たが、空港を飛び立って空港に帰ってくるようなヘリの事ではない。4WDで何日もかけて辿り着く原野から飛び立って、着陸できそうなところを空から探して無理やり地平線まで続く原野に降りるようなヘリの話をしている。また、お金を出せば誰でも乗れるようなヘリでもない。

さて、無人島並みに隔絶された土地に降ろされた二人。上空から地上を見下ろしていて、私が「あそこにセスジムシクイが暮らしていそうだ」と思った斜面へ向かって見ることに。そこへの途中にも「まぁまぁかな」という場所を通りがかり、ハリーが「ここが素晴らしい」というので調査してみることにしたら一発でムナジロセスジムシクイが飛び出した。

その後、私の主張通りの斜面へ移動して調査を始めるとすぐに今度はカルカドンセスジムシクイが飛んで来た。いやーすごい。この場所は空から見つけたようなものだ。今年はまだ数日目だがもう数カ所で十数羽セスジムシクイ見聞きしており、この太田・ハリー組は今年の全参加ペアの中でも最高の結果を続けていた。




撮ってる暇はない、と言いつつも一応スピニフェックスに潜むカルカドンセスジムシクイ。


↑人間を初めて見た系。そして、もう2度と見ることはないだろうね。

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