このページでは数あるオーストラリアの野鳥図鑑などのなかから、
①オーストラリアを主な対象にした本であり、
②私が実際に所有していて、
③且つAmazonなどにより日本からも入手が可能そうなもの、
の条件を満たす物を抜粋した。
【通称 ”A B G”】2017年に発行された現状最新鋭の総合オーストラリア野鳥図鑑。この、どうしようもない大きささえ耐えられるのならもちろん最高の一冊になる。長所として、これまでの各図鑑が採用していたオーストラリア標準の分類を離れてIOC分類に基本的に準拠した点、亜種と季節移動もカラーで描き分けられている点、識別点の豊富な指摘。1ページ目のイラストインデックスも使いやすい。欠点として体長が記載されず、代わりにクチバシの長さと羽の長さが記載されている点。一般のユーザーはクチバシや羽の長さを正確に知る必要はなく、普通に体長を比較したいのだが。それからかなり珍鳥やこれから期待される珍鳥にもページが取られており、それによってさらに大きく重くなっており、そのせいか背表紙などはすぐ千切れてしまう。ただ全体として最新で優れた図鑑であり、かつ妙に低価格なこともありこの大きさを携帯できるなら他のものは全く必要ないと思う。家で使ったり、スーツケースに携帯して夜宿で見直したりして使う。
【通称 ”昔のスレーター”】オーストラリアのバードウォッチャーは恐らく全員一冊は持っている、というイメージの変則的な縦長サイズのフィールドガイド。イラストはあまり頂けない。細かい識別には難があり実際の色と随分異なるものもある。猛禽の飛翔形ページが白黒なのも大きくマイナス。製本自体もあまりしっかりした作りではなく、すぐバラバラになってくる。野鳥ガイドなどをしていると毎年買い換えないといけない程に痛み、これが一番不満。しかし圧倒的な普及率は鳥合わせの際等何かと便利だろうと思うし限られたスペースにしては結構情報が詰められている。他の競合するフィールドガイドが大きすぎる事もあり、携帯サイズを望むならこのスレーターしかない。(旧版)
↑のスレーターに改訂増補版が登場。【通称 ”新しいスレーター”】普通の人が訪れる事が困難なオーストラリアの超離島の鳥や迷鳥が追加され掲載種とページ数は大幅に増えた。これは一長一短あるけど、唯一のハンディサイズのフィールドガイドとしては重く分厚くなった点で惜しい。まぁスレーター1冊で済ましてしまおうという場合は守備力が上がったのでよいかもしれない。分布図も最新のものに上書きされた他、ページがめくり易くなった事、どうしようもなかった海鳥のページが改善された点も評価できる。飛翔図が白黒という旧版の大きなマイナスはカモメ、ウズラ、ミズナギドリなどがカラーに対応し改善。しかし一番対応すべきな猛禽は依然として断固モノクロをキープ。これはもう信念的なものを感じる。結構な数で挿入されている水彩画のような鳥アートはあまり巧くもなく、はっきりいって不要。旧版課題の耐久性(製本の質)は向上している。この図鑑だけに掲載されていた謎の鳥サビオセンニョムシクイは今回の改訂版では消え去っている。私はスレーター図鑑はリュックに入れて携帯する用途で使っている。
【通称 シンプソン図鑑】
分布図や亜種の記載が大変充実し、背景にその鳥の生息環境を描いた独特の構成でオーストラリアを代表する野鳥イラスト図鑑。メリットでもデメリットもでもあるのがその背景で、同じページに掲載される野鳥に遠近感が生じたり、同じページに何カ所にも描かれる種類があったり。見開き左側は通常の文章による解説だけど、左側では一番上に解説がある種類が見開き右側では一番下に描いてあったりで直感的には分かりにくい。見開き右側のページは20以上のイラストがぎゅうぎゅう詰めになっているうえに仕切り線も無いので大混雑しているページも少なくない。持ち出すのは辛いサイズであり、また無秩序にイラストを詰め込んだ構成は現場で急いで使うには適さないので家で使おう。亜種に関することや季節移動に関する事においてはきっちりと記載された唯一のフィールドガイドとなる。ハードカバーとソフトカバーの二種類が出ている。最新は第8版。
通称マッコンビー。「オーストラリア4大野鳥フィールドガイド」の中でもっともマイナーな一冊。季節移動や聞きなし、亜種など情報量は多く、所有しておいても損は無いけどイラストの色彩が全体的に華美すぎ現実離れしている(そのせいか、この本はよくバードウォッチャーではない人の家にあったりする)この本だけで識別を行なうのは避けたい。スレーターに対抗すべくハンディ版も出ているけど色彩のおかしさは相変わらず。スレーターも決して手放しで褒められるものではないだけに、いずれ巻き返して欲しい。
ーーーーーーーーーー以下はフィールドガイドではなく鳥関係本ーーーーーーーーーー
鳥以外の動物に関してのフィールドガイドなどは別のページで、植物に関する本についてもこちらで紹介中。