10万羽のセキセイインコを求めて/その2からの続き。
結局ニュースになるような大群は見られなかった第一次遠征だったが、そのおかげですでにウィントン地方から群れが移動していることがはっきりした。であれば他のエリアを探すべく会議の上インコオウム写真家のO君を別の方角に派遣した。まだ数百キロ圏内のどこかにいるはずである。
2−3日して第二次遠征隊の出発の前日、O君から「2万羽の群れを見つけました!」との電撃的な一報が入る。それはウィントン地方から道路距離でいえば400kmくらい離れてるんじゃないのという大平原地帯で、まぁ自分たちのことながらよくこんな神出鬼没の群れを無人の大平原で再び捕捉したものだ。急いで旅程を変更し、メールマガジン臨時号やツイッターを打って出発する。何人かの人が来たかったみたいだが、先約がある、費用が高い、長距離移動に耐えられないなどなどの理由で結局来られなかった(生涯で一度だけのチャンスにそんなこと言ってる場合ではないと私は思う)。来るのは人呼んで“セキセイの女王”こと、もう10年にわたってオーストラリアにインコを見に来続けてくれているYさん達だけだ。第一次遠征隊が見られなかったのにYさん達の番になった途端に大群が発見されるとはなんたる強運。それに現地にはO君がリアルタイムで張り付いていることによる安心感が全然違う。きっとセキセイインコの神様の計らいだね。
Yさん「O君は一人で砂漠におるん?」
私 「彼は水とインコで生きてるから大丈夫だ」
O君から「18時までには絶対来てください」「もう声が枯れました!」(なぜ?一人で何をしてるんだ?)というので明け方のケアンズ空港からほとんど休憩もせず11時間走り続けて17時くらいには宿に到着した。3トン以上の車重のあるランドクルーザーは未舗装道路を安定して90km/h で走れる。150リットルもの驚異的容積の燃料タンクは250kmおきにしかガソリンスタンドがないアウトバックのような野蛮な地方でも給油のことを忘れた走行が可能。二つも積んでいるフルサイズのスペアタイヤは、アウトバックで時折生じるパンクへの心配を打ち消してくれる。アウトバック最高のツアラーと呼ばれる所以。黙々と走り続けた先には
セキセイインコの村があった。スプリンクラーに集まる何百もの野生のセキセイインコ達。凄いわ、夢のような村だ。
村の中だけでも大騒ぎだが、それではと本命の郊外のポイントに向かう。O君によれば今朝は2万羽どころではない途方もない数が飛んでいたという。
…。
…。
しかしこの夕方は20時ごろまでウロウロしたが、目立ったセキセイインコの群れは見られなかった。そうきたか。今回はほぼ確実に見られるくらいの感じでやってきたので焦りがある。
アウトバックの夕焼けが黒いランドクルーザーに反射して水鏡に。
なんとかセキセイの大群を見せてあげたいが…まさか見られないのだろうか。
途方もない数のセキセイインコ達は半日で一体どこへ行ってしまったのだ?不安な夜を過ごした。いや、でもこのメンバーはセキセイインコ探しにおいては世界最強とも呼べる顔ぶれだ。必ずなんとかなる。
翌朝。
セキセイの神よ、どうか我々に祝福を。
100羽くらいのものはパラパラ飛んでいるが…。
ん?あの遠くのはなんだ?砂漠の砂嵐か!?
キター!!!♪───(゚o゚;;────♪
緑色の砂嵐ことセキセイインコの大群!!!!!!!!
2万羽クラスの大群があちこちから集結!!!
ずっと待ってた。このメンバーで迎えられるこの時を。(続く)