Site icon 【公式】オーストラリア唯一の日本語専門バードウォッチングガイド 太田祐(AAK Nature Watch)

ココス諸島探鳥記 その6(完)

アオエリヤケイ

オーストラリア野鳥の会の会報「Birdlife Australia」に4ページ分の写真を頼まれて提供した。このアオエリヤケイはその中の1カットの類似ショットだ。


海に胸まで浸かりながら絶叫して撮影したジャワアナツバメだが、どうも今日になって数羽飛来したようで港でも飛んでたし、公園でも飛んでたし、最悪なことに食堂でご飯を食べている時も飛んでいるという…。もはやストップ安の展開。

ただ、このジャワアナツバメ祭りは大事件の前触れであった。実はこのころインド洋に発生した強い前線が洋上にいた様々な野鳥をココス諸島方面に吹き飛ばしていたのである。夕方、次第に暗く重くなる空の中で宿舎に向かっていたらココス諸島在住の人が望遠カメラを持って空を見てポカンとしている。


私たち「どうかした?」
島の人「…いやぁなんかこれまで見た事ない鳥が飛んでて。ミズナギドリ(Petrel)の仲間みたいだけどー」
私たち「冗談だろ…(写真を見せてもらう)」
私たち「…(沈黙)」
私たち「!!!!!( ゚д゚)」
私たち「!@#$%&*!!!!!!!!」
私たち「レユニオンシロハラミズナギドリ!!!オーストラリア史上初記録だぞ!!!!」



あいつだ!うぉーそんなバカな事が!!!


そんなバカな事が!!


とりあえず何枚が証拠写真を撮った後、宿舎に先に戻っていた人やその辺でぶらぶらしていた人を走って呼びに行く!

「Petrel on runway! Shouldn’t be here!!!」

訳すと「ミズナギドリが滑走路にいる、すぐ行け!!」なのだけどミズナギドリの英語であるPetrelという単語はガソリンという意味の単語Petrolと発音が同じである。そのためミズナギドリ(Petrel)の話ではなくて「滑走路にガソリン(Petrol)が!!すぐ行け!!」と言われたと誤解したおっさんがいた。だから「なんだって!?誰かが滑走路にガソリンをこぼしたのか?」という一瞬訳のわからない反応が帰ってきた。そうか、むしろミズナギドリは外洋の鳥であり、沿岸どころか完全な陸上を飛んでいる方がおかしいし、血相を変えて駆け込んできて「ガソリンがこぼれた!!」と言われたと思う方が普通だよな。


←これが大混乱状態に陥ったココス島空港の滑走路の実際の当時の映像。




これがアフリカ沖マダガスカル島近くのレユニオン島から大洋を渡って出現した、伝説のレユニオンシロハラミズナギドリ。オーストラリア野鳥の会の会報「Birdlife Australia」に4ページ分記事の中心はこの出会いである。記事のタイトルは『Petrol On Runway(滑走路にガソリンが)』である。そのタイトルしかないよ。


もう一回載せておく。(なおレユニオンシロハラミズナギドリはシドニー沖などオーストラリア領内で2件の記録がある事が後からわかった。ただココス諸島では初記録)

この衝撃的な出会いをクライマックスに、一週間いたココス諸島とはお別れとなる。ココス諸島空港は結構まともな空港だが、チェックインは驚異の3時間前を推奨。一体なんだそれは。

昨日の低気圧前線が初日に来ていたらもっと多くの珍鳥が…という悔しさも残る。



ココス諸島で過ごした一週間に撮ってた動画をつなげて見た。集団入水自殺のような噂の海峡横断を2度収録。繋げただけで、オチやまとめはないからね。



旅自体はまだ終わらない。最初の10日ほどが過ぎただけで、次はクリスマス島へ移動して一週間を過ごす。

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