Site icon 【公式】オーストラリア唯一の日本語専門バードウォッチングガイド 太田祐(AAK Nature Watch)

雨季にセスジムシクイを見に行こう その4

朝から車を一度も動かすことなく時折周辺を徒歩で探鳥する程度でベースキャンプに停滞していたけど、夕方になって空が明るくなってきたので少し遠くまで歩いてセスジムシクイを探しに行った。歩き始めてしばらくは全くセスジムシクイの生息環境ではなかったけど、その後に「あの丘ならもしかして?」という場所で探していると反対側からよく知っている小声が聞こえてきた。
ムナジロセスジムシクイ
ムナジロセスジムシクイ(オス)来た〜!!もう10年くらい毎年これをやっているにもかからわず、最初の一羽目はいつでも嬉しい。特に今回は一人だし自由に動けるし夏だし楽勝だろ?という気分できて(反省)大雨と泥濘に敗走してベースキャンプで停滞していただけにフラストレーションが溜まっていた。

ムナジロセスジムシクイは基本的にこうしてオスが前列に飛び出して異物に対処にあたり、メスは後方に控える布陣を取る。一羽だけということはほとんどない。もし一羽だけだった、というならそれはマルオセッカの誤認を疑った方がいい。

メスが背後を一瞬通りすぎたのを狙ったが間に合わなかったな、と思ったけど1秒で20枚くらい連写撮影できるR3だと最後の1−2枚で撮れていたりする。まああとから毎日数百枚を削除するのは過酷な作業でもあるが。

この三日間くらいのストレスを吹き飛ばすムナジロセスジムシクイの出現。しかも新しいポイントで、それは国道に近いとても便利なところにある。写真家ではなく野鳥ガイドである私に撮っては再訪性が高い場所の方がずっと嬉しい。車から降りて1時間歩かないと辿り着けないポイントなんてポイントとは呼ばない。

オスとメスが一緒になったが、メスは常に一列後ろに。

不審物(私のこと)に対処するのはオスの仕事だ。写真家ではなく野鳥ガイドである私は、【ある程度撮ったらストレスをかける前に撤収する】という感覚を強く持っている。なぜなら、大事な野鳥には次来た時にも、次の次に来た時も、極端なケースでは毎週毎週ずっとそこにいてもらわないと仕事上困るからだ。ところが一発勝負でもう2度と来る予定がない海外や州外のバーダー、それから写真家はいつまでもその野鳥にへばりついて追いかけまわしポイントをダメにしてしまう傾向がある。そういう意味では野鳥ガイドは野鳥に対しもっとも良識がある距離の取り方をしていると思う。それは野鳥のためという面もあるけど、はっきり言えば自分の為である。
周辺では野性のセキセイインコ達も飛び交っていた。

道路に近い新しいポイントで、しかも割合愛想のいいムナジロセスジムシクイのペアを見つけて鳥エネルギーが急に満タンになった私は、明日もまた二匹目のドジョウを狙ってすぐ近くのエリアを探してみることにした。それは二日前に通り過ぎた時に「おおっ?」と思った一角だった。

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