Site icon 【公式】オーストラリア唯一の日本語専門バードウォッチングガイド 太田祐(AAK Nature Watch)

ミッチェル台地遠征編 その3

Monjong バービッジイワワラビー

オーストラリアガマグチヨタカphalenoides
到着初日の午後に目標だった三種全てを見つけることができ、あとは今日写真は撮れなかったクロセスジムシクイを残り三日間で追いかければいいね、という充実した疲れを楽しんでいた時。岩場にGPSを忘れてきたことに気がついた。半分壊れているが、もう10年以上大陸を共に旅した仲間であり、中には大量の機密情報が詰まっている。まだ明るいうちに探しに行ければよかったのだが夜になってしまった。岩だらけの土地の水辺の夜なんてヘビのパラダイスだろ…とか思いながら足元をロングゲイターで守り、衛星携帯電話をオンにして探しに行き無事GPSを発見できた。写真は帰りに見たオーストラリアガマグチヨタカ。ケアンズのあたりは三つの亜種の分布の境界線上でありどれがいてもおかしくないのだけど、ミッチェル台地では亜種phalenoides

侵略的外来種オオヒキガエルが多かったがこれはBumpy Rocket Frogとかその辺?

このキンバリー地区には侵略的外来種オオヒキガエルの駆除活動で有名なKimberly Toad Bustersの本拠地である。ケアンズの南ゴードンベールで人為的にサトウキビ農場に放たれた最初のハワイ産オオヒキガエルおよそ80匹は爆発的な速度で分布を西へ拡大し続けた。カカドゥ国立公園の防衛戦はあっという間に突破されたが、ここ西オーストラリア州キンバリー地区ではアボリジニを中心とするKimberly Toad Bustersが超人的な活躍を見せオオヒキガエルの西進を食い止めてきた。ミッチェル台地は少し前までまだ陥落しておらず、そのおかげでヒメフクロネコをはじめとして多くの在来種が無事だとされてきた場所だった。しかし2019年6月に3泊キャンプしてみて、そこはもはやオオヒキガエルだらけだった。

Kimberly Toad Bustersによるオオヒキガエルの支配地の拡大。その破壊力は人類史上稀に見るもので、オオヒキガエル支配地では例えばエリマキトカゲはほぼ100%絶滅、アオジタトカゲはほぼ100%絶滅、オオトカゲは90%消滅、ブラウンスネークは90%消滅という。

暗い話になりそうだ。オーストラリアでも野鳥や動物はどんどん減っている。そうなる前に私は全力で楽しまねばならない。リタイヤ後に、とか言ってたらもう動物の大半はいなくなってしまいそうだからだ。

初日の午後にさしあたり目的の大半を達したので二日目は有名なミッチェル滝まで往復5時間のウォーキングとすることにした。夜明け直後から次々ヘリコプターが麓の方からやってきて裕福なオーストラリア人観光客を滝への遊覧飛行に連れて行く。オーストラリアほど国民が広く豊かな国なんてないと思う。ごく普通の人たちがヘリコプターに乗って観光や釣りに出かけて行く。何千円もするランチを毎日とる。トリップアドバイザーの調べでも、日本の訪日外国人支出調査でも、旅行への支出額はオーストラリア人が世界一となっているし。人口がまだ少ないので目立たないだけだが。

モンツキイワバトは岩じゃなくて土の上にもいるのか…だんだんタダのハトに見えてきた…。

三機も旋回しているヘリコプターがうるさくして仕方ないが、確かにミッチェル台地の景観はすごいわ。

ミッチェル滝まで往復5時間。ヘリコプター組も、徒歩組も、この周囲の川や滝壺での遊泳を楽しんでいた。私はここで汗を洗い流しても帰り道でまた汗だくになってしまうのを避けて、もっとキャンプ地に近い別の滝で泳いでから帰った。

この地域はアボリジニが古くから住んでいて、各地に壁画が残されている。

赤道に近く海も近いこの地域は冬であっても午後は歩き回るには暑すぎる。午前中の疲れもあり16時くらいまでしっかりキャンプで休む。

クロセスジムシクイの写真を撮るぞ!と夕方に再開して程なく。大きな岩を回り込もうとした瞬間、岩と岩の隙間から黒い小鳥が飛び出し、地面を駆け抜けて巨大な岩の下へと滑り込んだ。オオォ〜今のはクロセスジムシクイ!しばらくその巨岩を徹底マークしたが、どこかに抜け道があるのか岩の下に潜んだままなのか、結局撮影することはこの日叶わなかった。ただ至近距離で見られたという点で昨日よりも一歩前進した。

かくしてモンツキイワバトの写真ばかりが増えて行く笑

この日一番の収穫はバービッジイワワラビー(Monjong)を撮影できたこと!昨日は見ただけだった。丸まった尾が可愛らしいこれは結構珍しい種で、ネット上を探してもほとんど撮影されてない。


日没ギリギリまでやってたら、キャンプ地に向かう頃には暗くなってしまった。ライトをつけて帰る。

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