Site icon 【公式】オーストラリア唯一の日本語専門バードウォッチングガイド 太田祐(AAK Nature Watch)

チラゴー・フィンチ調査ボランティア(前編)

チラゴー

毎年20日〜30日を野鳥調査のボランティアに費やしている。今年からは植林団体にも加入して活動しているので年間50-60日はボランティアで終わっているような暮らしになってきた。ただし単なる労働力の供給である植林よりも、スキルや道具が活かせる野鳥調査の方を優先させて行きたいのは当然。これは2017年7月にチラゴー近郊で行われたフィンチ類調査ボランティアの記録の一部。


チラゴーといえばケアンズから一泊二日の旅行エリアで、多くの鍾乳洞は観光地としての価値を持つには十分なものだ。ただ、ちょっと4WDじゃないとたどり着けないようなところへ行くと、こうして私も初めて見るような洞窟やアボリジニの壁画などに感動させられる。なにここ?まるでカカドゥ国立公園じゃん。


壁画を解説する友人の博士。貫禄がある。こんなところに自由に出入りできるという意味でも大型4WDはオーストラリアを自由に生きるために必要な道具だと思う。以前読んだ古いオーストラリアの植物の写真図鑑はこういった書き出しで始まっている。

『定年退職したその日の午後。ディーラーで新車のランドクルーザーを受け取った。そして私の夢の時間が始まった…』

ってその本を思い出して書いているだけで泣けてくる。その気持ち、私も体験した。こんな書き出しに使われる車なんて他にないんじゃないか。

なお、それは一年も経たずにここまでグチャグチャになるとも言っておこう。



なお、チラゴーの鍾乳洞までなら誰でも観光に来れるが、その先はオーストラリア国内でも最強レベルのウルトラ僻地になる。絶対にウロチョロしないように!!

(看板の通り、次に人里があるのはオフロードを560km走った先だ)。


そんなウルトラ僻地にやってきましたよ。

今回の調査の最大のターゲットは、絶滅危惧亜種となっているキンセイチョウの南部亜種cinctaだ。彼らは現在ではタウンズビル西部に僅かに残るだけだが、40年前にこの流域で確かな記録がある。もしかしてこのウルトラ僻地で今でも生き残っている孤立個体群がいるかもしれない、という非常に明瞭で重要な調査だ。

基本的には水辺を点々と野営しながら探して行く。


しかしこの途方も無い広大な土地に数名の調査員とは心もとない。ケアンズの連中、仕事ばかりしてないで少し手伝えよな。




ライチョウバトもそう言っています。


オーストラリアガマグチヨタカ。それからゴースト・バットの名で知られるオーストラリアオオアラコウモリという巨大肉食コウモリを仲間と目撃した。


調査エリアは私有地であることも多い。もちろん事前に話はいっているが、水場などの情報も含めて牧場に挨拶に出向くことの何度か。こういうのは本当に西部劇のような荒々しい世界であり、都会とは全く違う人生がそこにはある。マッドマックスや北斗の拳の世界。


何泊目かの池のほとりは素晴らしいキャンプサイトになった。


夜間に歩き回って見ると何匹かの毒蛇と、そして水面には沢山の赤い光が。


それは全てオーストラリアワニの目の反射である。どんなに危険な生物がいようと、電気もトイレもなかろうと、それは我々には大した意味を持たない。(続く)

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