Site icon 【公式】オーストラリア唯一の日本語専門バードウォッチングガイド 太田祐(AAK Nature Watch)

セスジムシクイ調査2021 その4

Caper-White
ケイパーホワイト。蝶の写真をしゃがんで撮っていた際にバックパック上部の持ち手に取り付けていた無線機を落とした。なおここでいう無線機とは日本で使われている出力0.1Wの特定省電力トランシーバーではなく、その50倍、5Wのパワーがある本当の携帯無線機の話。なんでそんなところにつけているかと言えば、少しでも高い位置にあったほうが感度が良くなるため。落とせば後ろを歩いている人が気が付くことが多いような気がするが今回はその仕組みは機能しなかった。教訓1:今後無線機は落下防止コードも取り付ける。1時間後くらいに落としたことに気がついて探す。

究極に僻地かつルートのない山地で行われているこのセスジムシクイ調査ではあらゆるものにスペアを持つルールになっていて初日に持ち物を確認される。単独行動は禁止。GPSを落としたり壊れてもペア相手がGPSを持っているルールで、無線機を落としたり壊れてもペア相手がやはり持っている。車のスペアタイヤはスペアのスペア(つまり6個のタイヤを持っている状態)まで全車両が保有している。飲料水は150リットルを持っている。GPSもスマホも全て落としたり壊れてもなお紙の詳細地図が支給されている。もしペアに何かがあれば、近くで行動している別のペアがその日のうちに救難に向かうようになっていてキャンプは必ず2ペア以上が集合して行うルール。つまり最低でも4人1組がセットになっていて相互に助け合う仕組みをとっていて、少なくとも一台は衛星携帯電話または緊急救難信号発信機があることもルール(私は両方持ってきているが)。私の過ごしている世界ではこれらを「キャンピング」という。これが標準になると、自称キャンパーや自称ランドクルーザーファンがあーダーこーだうんちくを垂れているのを見聞きするとプププと笑える。

無線機を落としたとき最初にやろうとしたことはペアが持っている予備の無線機で呼びかけることだったが
勝手に電源が入っていて電池が切れていようとは。教訓2:予備の無線機やGPSのバッテリーは写真のように完全に取り外して携帯するように。

ということで確実に無線機を持っていた場所まで戻って、足跡を辿りながら探したらどうにか見つかった。


幸い野営地を移動しない連泊の日程の日で、無線機探しに2時間を投じても影響がなかったのはラッキーだった。普段なら多忙のため泣き寝入りだった。


電源周り。右下のがその5Wの携帯無線機。日本で使われている出力0.1Wの特定省電力トランシーバーの50倍、5Wのパワーがありながらこの小ささ。オーストラリアのGME製。いつも言ってるけど、無線機はこれ一択で他のものは必要ない。左下のは超大型モバイルバッテリー兼ジャンプスターター(車のバッテリー上がりの際にこれを繋いでエンジンをかけられる)。12Vシガーソケットがあるのが素晴らしい。


野営地の裏手にあった今にも干上がりそうな水場では小鳥たちが殺到。オナガキンセイチョウとミドリコバシミツスイ。


ヒメハゲミツスイ。とそこに


巣立ったばかりのコキンチョウの幼鳥が飛来し、このポイントで絶滅危惧種コキンチョウが繁殖していることが決定的になる。これをもっていかなる開発や地上げにも法的に相当な障害となる。なぜ巣立ったばかりと断言できるか?それは写真をよく見ればわかるけどここでは触れない。


普段高いところにいるマミジロモリツバメやホオグロモリツバメも飛来。


ほぼ野生である牛たちも水を飲みにくるので、この水場が消滅したのは2−3日後だろう。オーストラリアではこういうのも「川」や「湖」として地図に記載される。水があるのは20年に一度でも。

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