Site icon 【公式】オーストラリア唯一の日本語専門バードウォッチングガイド 太田祐(AAK Nature Watch)

第二次 野生のセキセイインコを求める遠征(2010)

野生のセキセイインコの群れ
↑日没前。ネグラにする木に各地から集まって来た野生のセキセイインコの群れ。その数は数百、といったところ。
セキセイインコの大発生を受けて行なわれた2009年の遠征。こんな体験は一生に一度だろうと思っていたら、なんやかんやでこうして二年連続同じ時期に現地へ行く事に。



これが野生、本場のセキセイインコ。これがオリジナルだ。といっても別に変わらないか?尾が長い気はするけど。一緒に行った人は、「これが本場のセキセイの止まり木になる」と枯れ枝を拾っていた。それを持って家に帰れるかは別問題ながら、そういった楽しみかたがあるのは間違いない。

オカメインコ。セキセイインコとは棲み分けている。昨年は異常な状態だったので、ただ待っていればセキセイインコもオカメインコもその他オウムもわらわら飛んで来たけど今年はそれぞれの好む環境にしっかり分かれていて、通常期の分布に関する貴重なデーターを得られた。

モモイロインコやアカビタイムジオウムも沢山いた。雨が多いため草が豊富で、こうして地面で餌をとっている姿を見る事が今年は多かった。ところで、ケアンズEye!の記事を参考にこの地を訪れたり訪れようとしている人が結構いるようだけど、ちょっと気をつけて下さい。オーストラリアのバードウォッチングの第一人者の一人、ロイドニールセンは著書でだいたいこんなことを記していた(意訳)。
『グッド・シーズン・シンドロームに注意。時々、オーストラリア内陸部の特定の場所で信じ難い数の野鳥やその他生命の集中が生じ、結果その場所が常時それらが見られるかのような土地として紹介されている事がある。例えば(中略)。オーストラリアの自然や野鳥に関する理解が必要だ。もともと大変厳しい自然環境に置かれているオーストラリア内陸部では、雨や気温などが何らかの理由で環境が良い状態となると、近隣の多種多様な多数の鳥がごく小さなエリアめがけて殺到し、集中し、繁殖する。(彼らは特定の繁殖期を持たない/持てない。環境が良くなるのをずっと待っている)しかしそれが終わればたちどころに拡散して元の静かで過酷な状態になる。(中略)オーストラリア内陸部における、生き物の異常な数の報告はその瞬間だけのものであり、もし参考にする場合は現地の知識を持った人と綿密な確認を。』

素晴らしい内容。
実際に、全ての状況は一変していて昨年の場所にはほとんど何にもいなかった。何しろ今年は昨年の降水量の10倍に達する雨がオーストラリア内陸部に降っているし、今回は昨年とはかなり異なるエリアで写真の鳥達を観察している。むしろ、昨年は何もいなかったような場所で。
また、ケアンズ周辺で最もセキセイインコがいる可能性がある場所としてケアンズEyeでもお知らせして来たジョージタウンにて、2010年にセキセイインコを見た人は私が知る限り一人もいないです。往復9時間も運転し何万円ものガソリン代とレンタカー代を払って手ぶらはむごい。何人もの日本人が行ってしまったようですが、内陸部では一旦いなくなると10年くらいいない事も。オーストラリアの少なくない野鳥において使われる”Nomadic”という形容詞はそういう事です。
オーストラリア内陸部にインコを探しに行くつもりの人はロイドニールセンのアドバイスやジョージタウンの例を良く考え、無駄足にならないよう気をつけて下さい。それに車が壊れたり、うろうろして道に迷うと直ぐに生命に関わる地域ですし。携帯は圏外です。英語が不自由無いのは当たり前として、ファーストエイド、何日か分の飲料水、無線、3G携帯電話、GPSなども必要です。普通のレンタカーは未舗装道路の走行を認めていない事も注意。

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