Site icon 【公式】オーストラリア唯一の日本語専門バードウォッチングガイド 太田祐(AAK Nature Watch)

アイアンレンジ旅行記ー2日目ーアイアンレンジ到着

ハリモグラアイアンレンジ国立公園に入ったかどうか位ですぐ横断中のハリモグラを発見。妙に黒光りしている。ケアンズ周辺では夜間に遭遇する事が多いけど人や車が少ないせいか、カンガルー島でもここでも日中にどうどうと活動してる。しかし動物/バードウォッチャーガイドの二人の前を通ったのが運の尽き。


びろーん。
(ちゃんと逃がしましたよ…)

続いてゴアナも出現!茂みの中に追いつめたけど最後は上手く巻かれた。

いやー大物が日中に連発。
国立公園に入り、まずはキャンプの申請と支払いの為に無人の届け所に立寄り、代金とともに申請書をポストに投げ込んでおく。が、ポストは申請書で溢れ返っていてもう入らないくらいだった。悪い気があれば、中のお金もいくらでも持って行けそうだった。国立公園レンジャーさん、一応お金も取るんだからもう少し働いたらどうかね。アイアンレンジ国立公園内でキャンプが出来るのは
チリビーチ
クックスハット
レインフォレスト
ゴールドンクリーク
の4カ所。「ファミリーキャンパーにはチリビーチを薦める」「他の三つはネイチャー狂いの方々へ」と案内板に書かれている。我々はクックスハットとレインフォレストで迷い、現地を見て判断する事に。600mしか離れてないし。まずはクックスハットを覗いてみると大変なことが起きていた。
テントがぎっしり!!ここ、ケアンズからオフロードを1000km以上走ってこないとたどり着けない、アイアンレンジですよね…。水も電気も無い最果てのキャンプ地ですよね!?熱帯雨林の中の、広さ100m四方程度のキャンプ地にぎっしり並ぶテントの群れにたじたじとなったけどよく見ると全部同じテント。ああ、ツアーの人達だ。なんとアンラッキーな…。おじいちゃんとおばあちゃんが沢山。軽く20人くらいいる。うーん、どうしよう?と考えていると周囲の森の中から聞き慣れない鳥の声が結構している。オニカッコウかと最初思ったけどどうもウロコフウチョウっぽい。chiemomoさんは人の多さに不満そうだ。そりゃそうだ。そこで近くのレインフォレストキャンピングエリアを覗いてみるけどここも先客がいて、空いてた場所は10m四方の熱帯雨林の空間。うーん。狭い。林縁をうろちょろする生き物が見えないのではないか。鳥の声はしてない。どっちもどっちだけど結局クックスハットの方に決定。テントを設置する。叩き上げのアウトドア育ちな二人なのであっというま。いつもよりは遥かに荷物が多いけど、それでもオージーが驚く超コンパクトキャンプだ。

クックスハットキャンプには森の奥にハイブリッド型のトイレもある。とりあえず一回りしようとするとなんか変な小鳥が林縁から様子をうかがっている。「なんか、顔が白いキアシヒタキみたいなのがいましたよ」と戻ってきて言うと「それはカオジロヒタキ(アイアンレンジ固有種)じゃん!」とchiemomoさん。予習してきてないのがバレバレのwillie。
これだカオジロヒタキだ。よしよし。

ツアー軍団は今日明日と二泊するらしい。どうみてもバードウォッチャーや自然愛好家には見えないシニア層だけど、ここで二泊して何するんだろう。まぁしょうがない。キャンプサイトを片付けていると、散歩に出かけたchiemomoさんが「上空をオオハナインコが飛んで行った」と。なにー。早くもビッグネームも登場だ。アイアンレンジは凄い。大きなカメラと双眼鏡をもってこの辺境でうろうろしている日本人(我々)にツアー軍団のおじいさんおばあさんが入れ替わり立ち代わりテントにやってきて「何をしているのか」と尋ねてくる。ツアーは何をするわけでもなく、ずっと自由時間のようだ。みんな持て余してキャンプエリアの辺りを手ぶらで徘徊している。何をしてるって、希少な生き物を見にはるばるここまで来たんですよ。「何をしているの」別のおばあさんの登場。いや、あなた達こそ何十万円のお金を払ってここでいったい何をしているんですか?それほどマニアには見えないけど。あばさんが、「エレクタパロットを見た?」と。(※注 正しくはエクレクタスパロット=オオハナインコの事です)どうも、ツアーガイドからそういう珍しいインコがいるんだよーとさっき教えられた、という雰囲気だった。間違いを教えてあげようかと思ったけど、まぁいいや。「調子はどうだい?」べつのおじいさんが登場。いやー大変だ。chiemomoさんはどっか行ってしまっていないし。「やぁ。何かの撮影かい?」更に新手が登場。この辺境で人付き合いに悩まされようとは。
夜がやって来た。適当に自炊。水すらない僻地なのでジュースやら飲料水やらで50Lをケアンズから持ち込んでいる。
ツアー軍団は宴会でも始めるのかと思いヒヤヒヤしていたけど年齢のせいか以外とおとなしく一安心。このキャンプエリアでは彼らが先住民なので遠慮して、少し離れた所をスポットライト二台を使って夜の生き物探しを開始。なんか気を使うなぁ。夜の森といえばなんといってもここで見ておきたいのはクスクスだ。頑張ったけどやはりそう簡単には見つからず。テントに戻ると、ツアー軍団の一人がメロミスを捕まえて見せにきて「乳頭が4つある」「走るのではなくて跳ぶために後ろ足が発達してる。ほら」「ヘビに襲われたようだ」と言って去って行ったらしい。それだよ!アイアンレンジで出会う人はみんなそういう生き物狂いの面白い人のはずだ!どうもツアー客の中に一人変なおじぃが混入してる模様。
クスクスは今晩は諦めて、また明日早朝から歩くし寝ますか…といってお互いのテントに入りかけた時。テントの裏の樹が揺れた気がした。スポットライトを掴み照らしてみると、見慣れない灰色とシロのまだら模様。ポッサムのような姿。
…で、でたー!!クスクスー!と叫ぶとchiemomoさんがテントから二回転しながら飛び出してきた。あんな嬉しそうな表情は初めて見た。二人してうわー、ぎゃー叫びながら撮影機材を掴みレンズを構えたが少し遅く葉っぱの中に入ってしまった。見つけたときは全身丸見えだったけど。

「騒ぎ過ぎましたね…」「いや、しょうがないでしょう。クスクスですもん」この騒ぎで、「フィルムクルー(撮影隊=私たちの事)が何か見つけたぞー」ツアー軍団も反応し次々に集まってきた。何人かは間に合って見事クスクスを拝む事が出来た、よかったね。
興奮冷めやらぬ中にテントに入り、眠りについた。
…。
時は流れ深夜。
クスクスも眠るミッドナイト。
無数のご年配の方々に取り囲まれ質問攻めを受ける夢にうなされていた私。
森の奥から人の声がする気がする。
「…ビューティフル…グリーン…」
「…フィルムクル?…」
「…パイソン……レアパイソン…」
だんだん声は近づいてくる。
「…フィルムクルーを呼べ?…」
「グリーン…ビューティフル…レア…」
かなり近く?夢?
「グリーーンパイソン、グリーンパイソン!」
どどどど、という足音。ピカッ、ピカッと強い光が走る。
んん、これはカメラのフラッシュだ!とようやくはっきりと覚醒したwillie。
テントから飛び出すと、とんでもない光景が展開されていた。

そんなバカな!
このおじぃ、ただ者じゃないぞ!いや、これはやはり夢だろう(笑)

爬虫類ファン垂涎!!オーストラリアでもっとも珍しいヘビと言われ闇マーケットで1匹2百万円以上。アイアンレンジ付近にのみ生息。
夜中にトイレに目を覚ましたおじぃが森の奥で捕まえたらしい。いやー凄過ぎ!今日の午後遅くに到着したばかりとは思えない。楽しくて楽しくて、今まで生きてきてよかった。

Exit mobile version