Site icon 【公式】オーストラリア唯一の日本語専門バードウォッチングガイド 太田祐(AAK Nature Watch)

2018年マウントアイザ・ボーリア方面 その3

アウトバック夜明け全方向が地平線であるボーリア郊外の日没や日の出を万感の思いで眺める。

これまで数えきれない日の出をここで見てきた。ほとんどが素晴らしい記憶だが、切ないものもある。ただ今後どんなことが起きようとも、この景色を知らない人よりは私は幸福であると言い切れる。




地平線まで一切の人工物がなく、一人の人間さえいない。右も左の背後も地平線だ。


トラブルは突然やってきた。道端に車を止めて野鳥を見ていて、全員車に戻ってさぁ出発という時に背後を車が通過していったのだけど、その瞬間に「ガシャーン!!!」という音とともにリヤガラスが粉々になった。恐らく跳ねいしによるものだ。

(←割れたガラスと、その内側に見えるサンシェード)

…。流石にしばらく呆然とした。さあどうするんだこれ!?ボーリアに車の窓ガラスが修理できるような店があるわけがない。300km離れたマウントアイザならできそうだが、そこまでの道のりと二日間をこの状態で過ごすかな…。

とりあえず昼休憩でロッジに戻りつつ、電話でマウントアイザで取り付けるリヤガラスを手配し(僻地でのランドクルーザーの市場支配率は飛び抜けており他のどんな車種の部品よりも常にストックされている)、全然関係ないボーリアの工房に入っていっていくつか資材をタダで分けてもらう。私は過去の様々なトラブルを経て、自分の尊厳を損なうことなく田舎のオーストラリア人にヘルプしてもらえるコツのようなものをすっかり身につけている。
お昼休みでみんなが宿で寝ている間にもらった資材で作業を進めて…



←じゃん。

まあまあの応急処置じゃん?ボーリア結局この状態で二日間ツアーを継続し、マウントアイザで24時間営業している自動車ガラス修理店(!)でリヤガラスは無事交換された。

この旅でフロントガラスが4箇所割れ、リアガラスが粉々になり、タイヤも交換になって$1000以上が吹っ飛んでいったが、この途方も無い僻地でこれだけの対応ができてツアーにほとんど影響を出さなかったことを自信に思う。これがレンタカーに乗った日本人で英語も出来ないタイヤ交換もできない人だったら何をどうしただろうか?

ところで昨年も酷い目にあったのがボーリアのタイヤ店のボブだ。昨年パンクしたタイヤを修理に持ち込んだら「こんなのは直せない」と言い中国製のわけのわからないタイヤを売りつけられた。一緒にいた友人のメカニックによれば「あんなパンク程度を直せないわけないだろう?あとで直して次にやってきた人にそのタイヤ売るためだよ。元手がタダだ。その中国製のタイヤもそうやって旅人から取り外したやつかもしれないね。それもタダで無限に儲かる」と言われた。

今回はその手だけは食らわないように再三「このパンクを直せないなら持ち帰るから何もするな」と伝え念を押して紙にも同じことを書いて渡した。「確認して電話する」と言っていたが結局何日経っても電話はなかったので呆れつつ最終日にタイヤを回収しに行くと驚くべきことにまた私のタイヤは勝手に取り外され何処かに消えており、また別の謎タイヤが取り付けられていた。

オーストラリアが銃社会じゃなくて本当によかったな。銃社会だったら私は確実にこの時ボブの顔面に向けて数発発砲し、倒れたあとも弾丸が尽きるまで遺体を撃ち続けたと思うわ。

ボブはボーリアの偉大な名誉市民だそうです(爆笑)。彼はボーリアのスーパーマーケット、タイヤ屋、ガソリンスタンドを所有している。読者のみんなにはそれらで$1も使って欲しくないし、SNS時代の今、こういった旅行者相手のボッタクリができる時代はもう終わりつつあることを教えてあげて欲しい。Google Mapレビューで出来ます(https://goo.gl/maps/wdJLnBZ1PXw と https://goo.gl/maps/WoKaDXHNbo82 )彼がいかに偏屈で時代遅れな人間かは、彼が経営する全ての店のレジに貼ってある注意書き『携帯電話で通話しているヤツのレジなんかやらん。俺は謝らない』の一文からも十分伺い知れる。僻地だからと行って世間をバカにしていると、これからの時代は酷い目に会うぜボブ。




一人のくだらない人間がいると台無しになる。嫌なことは忘れ、夕暮れのアカカンガルー。

クマドリバトの群れも登場。

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