Site icon 【公式】オーストラリア唯一の日本語専門バードウォッチングガイド 太田祐(AAK Nature Watch)

9回目のパース その1(番外編)

パース市を起点にオーストラリア南西部を8日間ご案内するお仕事を頂いていて、それが始まる三日前に現地入りした私はパース空港につくや否や、一直線にカメラ屋さんへ向かった。なぜなら出発前日にCanonカメラ1DXと100-400mmレンズが外れなくなり、かつ撮影もできないという故障が発生。ニコンを売ってしまったいま野鳥撮影ができる唯一のセットを一時的に同時に失う形になって何時間か悩んだのだ。それは

諦めてカメラを持たずに12日間旅に行くか?
それともパースについてから何かしらのカメラを買うとして、レンズは唯一持っている600mmを持っていくとか??

パース旅行2022
結局後者にした。故障した1DXは必ず戻ってくるわけで、それより下のランクのカメラを新たに買っても意味がない。思い切って現行で最高峰のカメラであるR3にした。来年にキャラバンを売却した資金でR1をと考えていたとはいえ、とんでもない予定外の出費になった。
ということで買うだけ買って開封する時間さえないままパースから6時間の運転を開始。ターゲットは近年独立種になったウエスタン・ウズラチメドリ(和名なし)と、ルーファス・セスジムシクイ(和名なし)の2種類だ。
R3のバッテリーが空なことに途中で気がついたけど今回レンタルしたのが新しいプラドでコンセントがあるので走行しながら充電できて助かった。途中でランチをとりながら今夜食べる夕食も同時にゲットし、適当な道端からブッシュに100mほど入ったところで野宿とした。こういう旅では私はコットもマットも使わず後部座席で寝袋で寝るだけである。

翌朝。組み立てたばかりで使い方もほとんどわからない初のミラーレスカメラにて初期設定のままとりあえずシャッターを押していって様子を見る。アカビタイサンショクヒタキの幼鳥。画質は素晴らしいが、フォーカスが訳のわからないところに飛んでいって動きまくることに理解ができない。


なんだかよくわからないヒタキのようなものがいると興奮したが、カンムリモズヒタキのメスだった。オスの印象が強すぎ、メスをちゃんと見たことがあまりなかった。


ターゲットのウズラチメドリ類が好みそうな砂利まじりの疎林を歩き回るが、そんなに簡単にはいかないようだ。写真はハイイロトゲハシムシクイ。


ウズラチメドリ類探しには結構自信あったのだけど出てくるのは他の野鳥ばかり(写真はベニオーストラリアヒタキ)。早朝から岩場を歩き始めてそろそろ昼になるなぁと思った時に遠くを歩く1羽を発見!しかしフォーカスがいうことを聞かず撮影できず。その後1時間以上をかけて使い慣れない新しいカメラと、非常に警戒心が強く逃げ足が早いウズラチメドリに苦戦しながら


とりあえず証拠写真を残せたところでもう撤収する。オーストラリアでの736種類目。


なぜならもう一つのターゲット、ルーファス・セスジムシクイ(和名なし)を実質あと1日ちょっとでゲットしなければ大変なことになるからだ。ウズラチメドリの証拠写真を残せた時点で次に進み、もしも時間があればまたトライするのが正解だろう。人里まで降りてランチをとり、ルーファス・セスジムシクイのポイントに2時間かけて向かう。
ルーファス・セスジムシクイは私の代名詞といってもいいセスジムシクイの仲間でありかなり自信はあったが、目星をつけておいたポイントA、ポイントB、ポイントCで敗走し、ここで出なければ日没というポイントDで


でた!!!ここでも馴染みのないカメラのオートフォーカスをコントロールできず、50枚くらいシャッターを切った中で唯一ピントが合っていたのがこの一枚。実に危ないところだった。オーストラリアでの737種類目。

ということで人里まで意気揚々と引き上げて夕食をとり、野宿可能なレストエリアまで移動したのち今晩は隠れることなく堂々と寝た(後部座席でだけど)。明日の最後の半日は証拠写真しか撮れなかったウエスタン・ウズラチメドリの再撮影に使うか?とも思ったけど、何週間か前にハイイロミツスイを見た人がいるという情報にアタックしてみることにした。私は野鳥写真も好きだけど本質としてトゥイッチャー寄りなもので。それにハイイロミツスイは昔アリススプリングスで三日間もガイドを頼んだ上で敗走した、今私にとって最も因縁の相手である。


自由になる最後の半日。結果から書くとハイイロミツスイは出なかった。まあ、放浪性のある鳥に対して何週間も前の情報などほとんど意味はないことは知っている。それでも追いかけるから夢があるじゃないか。これで更に因縁の相手になったというものだ。
なお写真の野鳥は少し前までムナグロオーストラリアムシクイと呼ばれていたものだけど、今はPurpke-backed Fairywrenという独立種であり和名はまだない。勝手な和名をつける人もいるが、私は謙虚なので前述の「ウエスタン・ウズラチメドリ」とか「ルーファス・セスジムシクイ」のようにカタカナ読みを使っている。


ノドアカアレチムシクイも可愛い感じで撮れた。
明日から仕事なのでパースへ向かい、今晩はちゃんとモーテルをとって疲れと汚れを落とし、翌日に備える。まずはこんな馬鹿でかいレンズを持ってくることになった事情を説明しご理解を頂くことだ。

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