Site icon 【公式】オーストラリア唯一の日本語専門バードウォッチングガイド 太田祐(AAK Nature Watch)

冬のビクトリア州海鳥観察 前編

オーストラリア南海岸オーストラリアの深南部、特にシドニー沖合、メルボルン南西沖合とタスマニア島は海鳥観察の名所である。日本で行われているような大型フェリーに乗って行う安楽なそれとは違い、釣り船程度の船で大陸棚さえ超えて外洋(それも『吼える40度線』こと南氷洋に、である)に出ちゃうぞ!というハードコアなものなのでまず参加するには平均以上の健常者であることが求められる。立っているどころか時には座っているのさえ困難で過去何人も骨折したり頭から海へ転落したりしているわけで、日本人はこと船酔いに弱いし大半はそもそも参加資格がないかなという感じがする。

そんななのでオーストラリアの海鳥観察船は天気予報を見ていて1−2日前まで催行が決まらないものが多い。特に『吼える40度線』こと南氷洋は冬は大荒れであり、予約はしていたものの本当に催行されるとはあまり思っていなかったのだが。美容院で髪を切ってもらっているときに「明後日は船を出すぞ」と連絡。急いで航空券などを買って現地入りした。書くのは簡単だが、ケアンズとメルボルンは飛行機で3時間半離れている。それは東京からグアムへ行くのと同じ。


熱帯からきた私にとっては夜の気温1度台というのは「何のためにこんな寒いところに暮らさないといけないのか?」と苦しむ水準。まあキャンプじゃないから外に出なければいいけど。メルボルン空港からダウンタウンまで移動し、そこから海鳥観察船に乗る人二人と相乗りで移動。船が出る小さな漁港まではメルボルンからさらに数時間のドライブだ。

この日初めて会ったばかりの海鳥観察船に乗る若者と宿はシェアすることにした。彼は生活苦で友達何人かと共同で一つの物件に暮らしているという。「支出は?」と聞いたら「ええと、海鳥観察、家賃、海鳥観察、学費、海鳥観察、食べ物…」と言っていた。ヤバい、ヤバいぞこいつは…食べる事を海鳥観察が圧倒している!




さあ、極寒の中を小型船で南氷洋へ出撃。海鳥観察の神(?)よ、どうか我々にご加護を。


うぉっ!


最初のアホウドリはハジロアホウドリの若。


続いてマユグロアホウドリ成鳥!


ワタリアホウドリの若!小船は揺れ揺れだが、私には乗り物酔いなどという隙はない。


ヒメクジラドリはこのグループで最も普通種。海に溶け込むような色をしている。小さいので、たまにトウゾクカモメなど他の海鳥に食われていると言う。


ヒメクジラドリ…

じゃないぞ!!!なんだアイツは!!うわーぎゃー!

ナンキョククジラドリだった!一種増えた!


ウミツバメ類の基本となるアシナガウミツバメ。


ヒメアシナガウミツバメも一見して認識できるようになって成長を実感。


外洋性の強いシロビタイアジサシ!一種増えた!


すごく白いハイイロミズナギドリ。


あーっ!マダラ!マダラ!マダラフルマカモメ。ずっと見たかったよ!


一種増えた!(後編へ)

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