Site icon 【公式】オーストラリア唯一の日本語専門バードウォッチングガイド 太田祐(AAK Nature Watch)

ハーバートイワワラビーほか ハイエースで寝る方法

無事ゴールドコースト(ブリスベン)地区でのご案内の仕事を終えた私はケアンズまで2500kmを運転して帰宅の途についた。この辺の距離感覚はケアンズの人とかともだいぶズレがあるみたいで、私は1日数百キロ運転するなんて毎日のことだけど外部のガイドに仕事を回そうとして『そんなに長時間働けない』だとか『1日にギリスレンジを2往復するなんて冗談じゃない』『朝の2時に起きるとかおかしい』などと言われることが多く回すのをもうやめた。どいつもこいつも怠け者でひよわすぎる。私は去年9万キロ運転してんだぞ。
ハイエース燃費運転してもけろりとしているのは私だけでなく、ハイエースも走行距離50万キロに及ぶのに相変わらず不死身っぷりを発揮。外乗りが続くので50リットルちょいの給油で一応14人乗りのバスが750kmも走るのは感心する。


まっすぐケアンズへ帰ってもつまらないので内陸側を通る5号線や7号線を北上。特に5号線は交通量が少なく軽快だった。日本の20倍以上の面積があるオーストラリアでは主要な道路を制覇するだけで生涯をかけたような目標設定になり、フリーの動物ガイドとして全国を年間9万キロ走る私でも全国の4分の1も走行したかどうか。なので新しい道を走り、帰宅後に壁に貼った大きなオーストラリア地図においてその道を塗りつぶすことは私の隠れた楽しみになっている。

『イワワラビーが簡単に見つかる』と聞いたとあるダム湖にて確かにイワワラビーが遠くにいたが、期待したオグロイワワラビーではなくハーバートイワワラビーだった。

持ちつ持たれ合うハーバートイワワラビー。


QLD系イワワラビーで最も南に分布し最大種であるハーバートイワワラビー。


オナガイヌワシがペアで飛んでいた。


ケナガワラルーは「カワリワラルー」と私が勝手に呼んでいるくらい個体差が大きいのだけど、この個体はニューサウスウェールズの方で見かける黒いグループとクィーンズランド州で一般的な茶色いグループが混じったような色をしている。

辺境のガソリンスタンドで休憩していると、マッドマックス(オーストラリア映画)のような旧車が入ってきた。オオハナインコが乗ってるし。

いやあこれは…オオハナインコも気のせいか人相が悪く感じる。多くの場合、車の種類や見た目は持ち主の人生にシンクロする。荒れた車に乗っている人は荒れているし(多くの場合)。

日本にはないがアメリカやオーストラリア、西部劇などでよく出てくるのが無人地帯にポツンとあるガソリンスタンド兼酒場。そこは大陸を車で移動する人たちが一晩泊まるところであり、中にはこうして百室を超えるような膨大な部屋数をもつところもある。そんなに人々が通りがかるのか!?というと、流石にこの規模になると『仮設住宅村』というべきで要は道路工事従事者が工事終了までの間ずっと泊まり込みで過ごしているところ。

オーストラリアでは【近くの町から工事にやってきて、毎晩自宅へ戻る】という当たり前のことができない場所がとても多い。人間が普通に住んでいて建設会社があるような街は多くの場合、数百キロ彼方であって、作業員たちは何ヶ月もこうした仮設住宅村に滞在しながら工事をしている。日本の人にはわからないだろうな。なぜわざわざ数百キロ彼方から工事車両が列をなしてやってこなければいけないかという感覚を。人間が住んでいないんだよオーストラリアの大半の場所には。


このケアンズへの2500kmの帰路の途中、偶然編み出したハイエースの後部座席上で寝泊まりする方法。ハイエースの最後尾列4席は左右への跳ね上げ式だけど、それを跳ね上げず途中でとめ、その上にマットレスを敷いて寝るというスタイル。これがめちゃくちゃ快適だった。ベッドから起き上がっても足を下ろせるし(これができるかどうかでレベルが違う)、起きても頭もつっかえないし横幅も十分ある。二駆の車で辺境に行くなんて…という懸念は正しい。私も仕事の都合上やむなくやっているだけだけど、この快適な寝床、圧倒的な積載量(人間14人または荷物)、優秀な燃費、ハイエース侮りがたし。これがもし四駆だったら…。

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