Site icon 【公式】オーストラリア唯一の日本語専門バードウォッチングガイド 太田祐(AAK Nature Watch)

ダーウィン滞在15日間 その3(セアカミフウズラ)

カカドゥ国立公園

オーストラリアの古典映画「クロコダイルダンディー1」への登場で知られる展望台。地平線まで人間も人工物も道も見えませんね。国立公園自体が日本の四国並みに大きく、その広さが丸ごと居住や開発ができなくなっている。

こういう国のフィールドで仕事をしていると、日本を含むアジア的雑踏や混雑が苦手になるのは致し方ないと思う。オーストラリアでは人間一人あたりの面積が世界でも最も広く、一人一人の人間が広い空間を専有して日々を過ごしている。だから誰かが自分を見ているだけでも不愉快になるだけでなく、自分そのものでなくてもただ遠くから「自分の方向」を見ているだけでも面白くない。目の前を横切られるのが不愉快なだけでなくて、ただ「自分の前の方の離れた空間」を横切られるだけでも面白いものではない。海岸へ行って自分以外に誰か一人でもいれば「混んでるな」と思う。アメリカやオーストラリアなどの広い国ほどプライバシーにうるさいのは普段の個人的空間の広さから来ている。

そろそろ自宅を妥協のないレベルのところへ移そうと考えているのだけど「どんなところを探しているの?」と尋ねられ「隣の家は離れて完全に見えないレベル」「自宅敷地で野生動物観察が楽しめるくらいのところ」と答えると日本人はギェっと言う。




セイタカコウのペア。右側がメス。


コシアカショウビンは白っぽいため、カワセミっぽくない。乾燥林に住んでいることもありスズメ目の小鳥にだってみる。

地元のアボリジニの長老が亡くなったので、棺を担いだ徒歩の行列が集落を転々とする間(約27時間)は道路通行止め、例外は認めないという恐ろしい状態になった。幸い私たちが向かおうとする方角とは被らなかったが、道路なんて一本しかないのがオーストラリアであり最悪のケースではホテル周辺に閉じ込められることもあるらしい。ケープヨークやノーザンテリトリーではアボリジニの権限が強く、オーストラリアでありながらそれとは別の権力が存在していることを忘れてはいけない。




その後とんでもない出会いがある。道路にセアカミフウズラが5羽も。セアカミフウズラはオーストラリアの熱心なバーダーでもちゃんと見たことがある人は稀で、例えば私の師匠にあたるオージーもまだ見たことがないし、この夜同宿になった多忙野鳥ガイドも人生で一回見たことがあるだけ、というような超絶珍しい野鳥である。その写真も世の中に数えるほどしかないのだが、それが5羽も道路に並んでいるというのは今後十回産まれ変わってももう起きないことであろう。当然日本語のインターネット上にも初登場となる。


セアカミフウズラ「それっ横断するよ」


セアカミフウズラ「ひぇー(Uターン)」


スプリンクラーが水をまいた芝生で無理やり水浴びしようとするアカビタイムジオウム。


いや無理だって。


砂岩の崖が赤く染まり、チョウゲンボウがとまっている枯れ木の上に月が昇る。スマートフォンでの撮影としては豪華。

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