だんだん日も傾いてきて、キャンプ予定地に明るいうちに到着するのが完全に不可能になりつつあるのを知っていても次々水場にやってくる野鳥からも離れられない。クスダマインコ。
しばらくするとオカメインコも戻ってきた。
キイロコバシミツスイ(Yellow-tinted Honeyeater, Ptilotula flavescent)はアサートン高原にもいる、いやいない、それはこの地域固有の黄色がかったコバシミツスイ(Fuscus Honeyeater, Ptilotula fascia)だよ、等の議論があるが、西クィーンズランドでは普通にキイロコバシミツスイ。
クロオビミツスイはアサートン高原には稀にしか現れないが、ジョージタウンあたりからレギュラーだ。その後もこの小さな水溜りにはモモイロインコの群れ、キンカチョウ、ヒメハゲミツスイなど鳥が絶えなかったが時間に追われ出発する。
しかし、それもすぐ立ち止まることになった。
その2でも紹介したが、カーペンタリア地方の夕焼けは異常。
一般の人が見たことがないような世界を毎日溢れるほど見ています。
一体なんですか、この空は。
写真を撮りまくる若者。
中年。
明るいうちに先発隊が待つキャンプ予定地に行きたいんじゃなかったのか?
日が沈んでしまった未舗装道路をじわじわ前進する。真似しないように。時間の問題で牛やカンガルーにぶつかるから、絶対に!だからレンタカー各社は禁止してるんだよ。
前に来た時にヒゲナシヨタカをよく見たので「多分いるよ」と言っていたらやはり。
少しづつ近づき、いよいよこれからという時に背後から轟音と猛烈な砂煙をあげて全長数十メートルある巨大トラックが接近。
「こんな時間になんでこんなところを走っているんだ!ふざけるんじゃない!」
(ツッコミ待ち)
ヒゲナシヨタカは飛んで行った。砂埃を完全に被った。
夜間未舗装道路走行を再開し、聞いていたキャンプ予定地あたりまで来たがどうもよくわからない。何度か行ったり来たりしてもわからず、とりあえず今晩はその辺の林で野営して、夜が明けてから探すか、と話していたら何だか同じようにウロウロしている四駆を発見。話しかけられると、彼らも野鳥調査隊のレイ博士とパム博士だった。
レイ博士「いやー、キャンプを張り終わって近くの集落まで夕食に出かけて戻ってきたんだけど、キャンプがどこだったかわからなくなってねー」と。
おい、明るいうちに一回来ている二人が迷って戻れなくなる野営地なんて分かるわけないだろう。ついて行くと結局それは「まさか」というようなかすかな轍をたどっていった先にある単なる原野だった。こう言う場所はGPSでくれ。林にはテントや重装4WDが散らばっているのが暗闇に見える。明日からいよいよ任務だ。