Site icon 【公式】オーストラリア唯一の日本語専門バードウォッチングガイド 太田祐(AAK Nature Watch)

セスジムシクイ調査ボランティア三週間 その16

夕日に輝く原っぱ

二週間にわたったムナジロセスジムシクイ調査ボランティアは終わりに近づいてきた。我々のチームもステーションBをでて別動隊との待ち合わせ場所へ向かう。携帯電話もずっと圏外だしアマチュア無線も届かないような距離で互いに動いているので「五月二十四日にどこそこのロードハウスで会おう」という超適当な待ち合わせ。


実際我々は24時間にわたってロードハウスで待ちぼうけを食った。しかし、そんな体験もまたそれで良いではないか。それが人生のゆとりというものだ。



ロードハウスで働いている人が寝泊まりしているらしい古いキャラバン。なんかこんなCDジャケットがあったような。


周辺を散歩していたらハゴロモインコのオス。


セアカオーストラリアムシクイのメス。


カバマダラ、Lesser Wonderer,Danaus chrysippus。オーストラリアでもっとも分布域の広い普通種。


ロードハウスを出て私有地の川辺へキャンプを移動。その夕方ようやく全メンバーが集合、打ち上げ解散となった。グラハム博士から謝辞と簡単な結果報告があり、過去数回のムナジロセスジムシクイ調査の中で最高の遭遇率を記録した模様との報告に沸く一同。実際、今回参加したメンバーは足が最近不自由でベースキャンプで指揮をとることが多かったグラハム博士を除いて全員がセスジムシクイを確認している。私たちは後半二週間の参加だったが、全行程四週間に参加したメンバーも4人いる。最年長は81歳である。81歳になっても4WDに乗って電気も水道もない原野生活を続られる。だから年齢のせいにして地球との素晴らしい出会いを捨ててしまう人を私は好まない。私より若くてもタフでない人間はたくさんいるし、今回のメンバーの大半は60歳以上だ。この調査ボランティアにも参加している友人夫婦は現在69歳にして本格的なオフロード仕様キャンピングトレーラーを6万ドルで発注したところだ。それを牽引する既存の4WDがパワー不足なら、ランドクルーザーを買うと言っていた。両方で1500万円になります。


ハードなセスジムシクイ調査ボランティアお疲れ様でした。噂ではまた2017年4月あたりにあるとかないとかゴニョゴニョ。私は仕事と重ならなければまた参加予定。



私と後輩の二人はその後鉱山の街マウントアイザ方面へ転戦。ここはバーク&ウィルズ探検隊の功績のひとつでオーストラリア最大規模の露天掘り鉱山であり、公園やインフォメーションセンターの充実ぶりを見ただけで市の羽振りの良さが伺い知れる。マウントアイザには数回来ているが、いつも「煙突のある街」の曲が頭を流れる。オーストラリアではマウントアイザのために作られたような曲だ。↓


景色とか色合いとかもう全く歌の世界と同じじゃん。


隣に止まった4WDは、TLCCWA(トヨタ、ランドクルーザー、クラブ、ウエスタン、オーストラリアの略)のメンバーだった。トヨタランドクルーザークラブは他の州にもある。人口一人当たりで最も世界でランドクルーザーが走っているのがオーストラリアだと言っていた。




そのホームページのスクリーンショット。1000万円クラスの車を、廃車にする覚悟で乗り回すんだからまあオーストラリア人は裕福で平和ですよ。


マウントアイザ市の羽振りの良さで、国道脇にも多数の休憩施設が整備されておりありがたく使わせてもらう。マウントアイザのインフォメーションセンターでも無料のシャワーやwifiを使わせてもらった。この場所は第二次大戦中、東南アジアを南下する旧日本軍を迎撃するため設置された空軍の滑走路だったという。ロシアが過去に「冬将軍」によってナポレオンやヒトラーを撃退したように、オーストラリアは国境で迎え撃つのではなく、アウトバックの奥深くまで引きずり込むつもりだったのかもしれない。侵攻者が進撃しても進撃しても人も街も存在しない、行けども行けども其処にいるのは野鳥とカンガルーだけだという無限のアウトバックにバカバカしくなって撤退したかもしれない。


東屋の内側から。赤い幕は到着当初眩しかったので日よけとして張った。
近くにはオーストラリア人の老夫婦が。大型キャンピングカーで4WDを牽引し、さらにその上にモーターボートが搭載されている。

トリップアドバイサーの調べによれば、世界で一番旅にお金を使うのはとうとうオーストラリア人となった。元来の浪費的な国民性に加え、収入面でも日本人が一人当たりGDPが3万5000ドル程度なのに対し、オーストラリア人は6万ドルを超えている。

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