この付近はオーストラリアの中でも屈指の僻地であり人口はほとんどゼロと言って良い。そのためオーストラリアを一周する国道一号線も未舗装で何百キロにわたって無補給区間が続き、オーストラリアをライダーやサイクリスト、善良な一般の車(英語で”good tourist”と呼ぶ)が一周する場合はこの区間だけ国道一同線を外れて快適な舗装道路である66号線やA2号線、A6号線を使うことが既成事実と成っている。つまりこの付近を走っているのは極めて少数の地元民か変態かどちらかになる。
ノーザンテリトリー準州での調査場所はAステーションとBステーションの二箇所だ。ステーションというと駅の話だと思うのが善良な一般の人々(英語で”good tourists”)だが、アウトバックではステーションというのは何十キロ四方もあるような途方もないサイズの私有地を指す。それらは主に原始的な放牧をしている一種の牧場である。だからこの景色も私有地内ということになる。
Pink Fringe Myrtle (Calytrix exstipulata)が各地で咲き誇っていた。
バチ付き!
Rock Grevillea (Grevillea heliosperma)。これらの花々にはそれほど野鳥が来ていなかったのだけど、翌日素晴らしい野鳥ポイントに出会うことになる。そこを「スーパーウォーターホール」と名付けた。
3組は散開し、可能性がありそうな岩場地帯でムナジロセスジムシクイ捜索を開始。岩場にはチャバラモズツグミ(Sandstone Shrike-thrush,Colluricincla woodwardi)がたくさんいた。カカドゥやローンヒルなど問題じゃないほどここでは普通種になってた。セスジムシクイは見つからない、というかスピニフェックスが少なすぎて「いそうにない」というのが本音だった。代わりに「スーパーウォーターホール」が爆発する。
何しろじゃんじゃん小鳥が集まってくる。こちらは近くに座っているだけだ。左からチョウショウバト、キバシキンセイチョウ、オナガキンセイチョウ。
絶滅危惧種、野生のコキンチョウのメスの登場に現場は騒然となる。
さらにオスが登場し、もっと騒然となる。
さすがヒット本「死ぬまでに見たい世界の100の鳥」の表紙を飾る(何パターンかあり)コキンチョウだけはある。コキンチョウはダーウィンで安定して見られるものの、ハイドに入るか何かしなければこんなに羽色を楽しむほど近くで見られることは少ない。
何やら足元にも黄色いシマエナガみたいなのが…(キイロコバシミツスイ)
クロオビミツスイ亜成鳥。
このポイントは奥が崖で落ち込んでいるため、背景が完全にボケてスッキリ写せる。「スーパーウォーターホール」の爆発はまだ続く。