Site icon 【公式】オーストラリア唯一の日本語専門バードウォッチングガイド 太田祐(AAK Nature Watch)

セスジムシクイ調査ボランティア三週間 その10

オナガイヌワシ

ヘリコプターでの調査を終え、再び過酷なオフロードを数時間走ってローンヒル国立公園の表側に位置するキャンプへ戻る。カンガルーが轢かれて死んでおり、それに大量の猛禽類が群がっている。オナガイヌワシ。


シロハラウミワシも。

実はこの日、アスベスト汚染廃村からローンヒル国立公園の表へ戻る調査隊は二手に別れた。本隊は特別に鍵を借りてローンヒル国立公園の中央を抜ける整備用のスーパーオフロードを突破して戻ることになり、私のSUVは走行不可能とされ来た道を戻ることになったものだ。でも来た道と言っても相当過酷だったわけで、途中で何かあったときのために付き添いでリーダーのグラハム博士の改造ハイラックスが追走。何だかすみませんねぇ。

さらに悲しいのが、その整備用のスーパーオフロードを突破してきた調査隊本隊がムナジロセスジムシクイを見てきたことだ。それも車の中から楽々。オーストラリアの僻地ではそのシェア90%に達するというランドクルーザーやハイラックス(CMによる)。この旅を終えてしばらくして、私も乗り換えた。

オーストラリアのアウトバックを自由に過ごしたい場合はこのようにランドクルーザーかハイラックスを買うしかない。それ以外だと行動にかなりの制限がかかり、仲間にも迷惑がかかり、場所によっては「ランドクルーザーじゃない車でやってきてレスキューされた馬鹿野郎に罰金」(通称ランドクルーザー税)がある地方もある。



ローンヒル国立公園近くでまた一泊。この地域はクロムネトビが多く毎回見かける。
翌朝調査隊はまた二手に分かれて我々は隣のノーザンテリトリー準州へ遠征する組。ノーザンテリトリー準州でのムナジロセスジムシクイは生息地が減少しており、なお一層困難が予想される。


クロムネトビは石を使って硬いエミューの卵を叩き割る行動がマニアに有名。鳥による道具使用の一例である。

←看板によれば、この荒野にKFCがあるらしいぞ。




キボシホウセキドリが営巣していたが、前を行くカニチドリ号(ランドクルーザー70)との無線交信が途絶えたので急いで後を追う。まあケアンズにもいっぱいいるし。
オカメインコはこの旅の間じゅう、あちこちでこうした小群とすれ違った。広く薄く滞在していた印象だったが、最終日前日に途方もない数でその姿を見せることになる。

連絡が途絶えていたカニチドリ号(ランドクルーザー70)は何らかの拍子にスイッチがオフになっただけだった。国土の9割が圏外となるオーストラリアでは携帯電話など役に立たない。基本的な連絡手段はアマチュア無線である。


原野を走り続けること数時間、アボリジニ集落についた。村の奥、通りすがりには決してわからないような場所にスーパーがあるというので久しぶりに物資補給。オーストラリアの内陸部を長い期間旅をしたことがある人、「買い物ができる」というこの有難さ、盛り上がりがわかるよね??

しかもこの店、このような世紀末的僻地にありながらケアンズの大型スーパーと値段が変わらないどころかむしろ安いくらいだった。素晴らしい。

携帯電話の電波も久しぶりに入るし、あとはこの店があれば私は十分ここに住むことができる、と言ってまた駐車場でパソコンを広げテザリングでインターネットにつなげながら旅行業の運営に励んだ。いや本当に僻地に所在地を置いた方が法人税が安いのですよ。


←ここからちょっとの間ガソリンスタンドないですけど(320kmほど)大丈夫ですか?の看板。私が見たことがある最長の数字は570kmだから、320kmというのはまだまだ大したことはない。

これを書いている現在、私はランドクルーザーに乗り換えた。オーストラリア仕様車は標準でガソリンタンク容量が150リットルあることに日本人は仰天するが、アウトバックを走るなら最低でも750kmの航続距離は欲しい。その300km先のガソリンスタンドがいつでも営業しているわけではないし、必ずガソリンの在庫があるわけでもない。その上、そう言った競争のない僻地ではガソリンは震えるほど高い。航続距離が1000kmあると気分的に楽で、1500km以上無補給で移動できる今の車は大変結構である。



あとセキセイインコがいたよ。

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