Site icon 【公式】オーストラリア唯一の日本語専門バードウォッチングガイド 太田祐(AAK Nature Watch)

クリスマス島探鳥記 その4

オオグンカンドリメス

なんだか水の中のような背景を飛ぶオオグンカンドリ。クリスマス島では数カ所淡水の水場があり、それを飲みに3種のグンカンドリが海を離れて島の内部へ入ってくるため、こういったグンカンドリらしからぬ背景の中での飛翔が間近に観察できる。写真は水を掬い上げて上昇している途中のショット。


ドバトじゃないぞ。クリスマスミカドバト達が断崖で休んでいたのだが


ぐちゃぐちゃになって路上で目を丸くしているヤツが。


上空ではハヤブサがいつまでもグルグル旋回している。おそらくあのハヤブサがこのクリスマスミカドバトを叩き落としたのだが、そこへちょうど私が車で来たので命拾いしたのだろう。いや、それはわからないな。私はハトを保護することも、茂みに隠すこともしなかった。私はどちらの味方でもない。この後の結果は自然界が決めることである。

なおこのハヤブサはオーストラリア本土にいる亜種には見えず、シベリアから越冬に南下する亜種である線が濃厚。


クリスマス島には各地に小規模な無人寺があり、アジア的な雰囲気を作っている。こんな離れ島では人々は信心深くなるのかもしれない。


ココス諸島で何度か蹴っ飛ばしていたハリオシギだが、ついにまぁまぁの距離で撮影できた。仲間が草むらの中で吹っ飛ばしてこちらに飛んで来たためだ。なおこの仲間はベトナム戦争に従軍していたくらいの高齢だが、視力も体力も私と全く変わらないか、むしろ上回っているようなところもある。いまでも現役で生態調査や長期ガイドの仕事もしている(最近子供が生まれた)。何かあると「年だから…」と言い訳する人は彼に会ってみるといい。彼の子が成人するころには彼自身は100歳を軽々超えている。


繁殖期のオオグンカンドリのオス。翼開長2.3mもある怪鳥が唸りを上げて目前の水たまりにやってくる姿は感動的である。リストを増やすより写真が好きな人はこの水たまりに丸一日置いていっても問題ないだろう。


滅多に見ることのないグンカンドリの背中。
←夏の島というのはどこでも気だるい空気で良いですな。




オーストラリアを代表するようなバーダー達が「あっ!!」と思ったこのアマサギ。クリスマス島は農耕地はほぼないのでアマサギは基本的にいないから、というだけでなくてオーストラリア国内では滅多に見ないような綺麗な繁殖羽で、かつ逃げない。オーストラリアのアマサギは「オーストラリアで最も接近できない野鳥」とさえ言われるほど極端に警戒心が強く、車がただスピードを緩めるだけで遥か彼方まで逃げていくものだ。


アマサギは多くの学説ではCattle Egretという一種類だが、IOCはWesternとEasternという二種類のアマサギを認めている。これがWesternならばオーストラリア国内初記録である!!


「絶対に逃がすな!」「とにかく全方位からあらゆる写真を撮れ!!」


誰かが言った。「でもこの時期に繁殖羽になるんだから普通にEasternだろ?」そうか、確かにそれは言えている。なんか違って見えるがそれはクリスマス島補正のせいだろう。


リアル・鬼ヶ島のようなクリスマス島の海岸線。木造船で密入国を企てても木っ端微塵である。こんな晴天の日中でもだ。


クリスマス島を象徴する生物がこのアカガニだ。島を埋め尽くすアカガニの大移動は日本でさえも多少知られており、なんどもドキュメンタリーに収録されている。クリスマス島の旅行業の人に「日本人はきますか?」と尋ねたら「一般の人は全く来ないよ」と。そうだろうなあ。欧米人に比べて野生動物や奥地への興味が極端に低いとされるアジア人がこんなところまで旅行に来るわけがない。「でも半年くらい前、テレビカメラと、セーラー服を着て眉毛が繋がった女と、カニの着ぐるみを来た男が海岸を走り回っていたぜ」という答えが帰ってきた。

私は「それは…申し訳なかったですね」と謝っておいた。

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