Site icon 【公式】オーストラリア唯一の日本語専門バードウォッチングガイド 太田祐(AAK Nature Watch)

クィーンズランド州北西部、西部11日間その7

カノコスズメ達

普段から干からびているアウトバックながら、例年にも増して厳しい少雨に見舞われていた昨年。水場には多くの生物が集まってきていた。キャンプ場の蛇口から漏れる水を飲むカノコスズメ達。


発汗により鳥類よりも水分を必要とする哺乳類ももちろん。ケナガワラルー。


着陸するサクラスズメ。先客はキンカチョウ。

さらにオオニワシドリ、キイロコバシミツスイ、ベニカノコバト、キンカチョウ、ハイイロモズツグミ。シャワーにしているのは誰だ。


足の長いスキンクBlotched Sining Skink(Cryptoblepharus megastictus)。バラナスのように胴体が地面から大きく浮いている。


ヒロオトゲハシムシクイは英語でInland Thornbill(”内陸のトゲハシムシクイ”)という素敵な名前を持つ。


夕方の金色の日差しに染まっていくスピニフェックスの大地。

予定では今晩も同じ場所で連泊キャンプだったけど、概ねこの地区で見るべき野鳥は見られたこともあって半日早く出発することにした。つまり夕食まで食べたらキャンプを撤収して夜間アウトバックを移動しながら動物、とくにヒゲナシヨタカを見るべく夜通し動き回りながら次のキャンプサイトへ移動する(夜のアウトバックを走るのは慣れないと非常に危険かつ、レンタカー各社は禁止。真似しないように)。ヒゲナシヨタカ(Spotted Nightjar)はちゃんと写真に撮れたことがないので今回の旅を考える上でもメインの一つだった。

真っ暗な原野を車のヘッドライトだけが未舗装道路を照らす。次の集落がある50km位先までで、私がおそらく存在する唯一の人間である。いろいろな動物が道路に飛び出し、急ハンドルを切れば横転しブレーキを踏めばスリップする。激突すれば車が壊れ即原野での立ち往生を意味する。あ、ヨタカ系が横切って路肩で止まった!!


狙い通り。ヒゲナシヨタカ!


未見または未撮影のオーストラリアの野鳥のためなら命をかけられる。そんな男にとって、このヒゲナシヨタカ作戦の成功は忘れられないものになった。周囲はブラックホールのように暗く、無限に広かった。深夜にキャンプサイトに入り興奮を抑えながら寝袋に入る。
夜が明けて、ここは人口2人だけの集落。集落の定義ってなんだろう。そう遠くないところには人口0の集落もある。こういう場所が大好きなので立ち寄らずにいられない。


なおアウトバックで「村」というのはこういう場所のことを指しているので、スーパーだのホテルだの、あるわけないので誤解しないようにね。オーストラリア内陸は地球上で今、中国人観光客が一人もいない貴重なエリアといってもいい。まあ日本人も一人もいないけど。11日間旅して。携帯電は国土の8%で繋がるだけというのが空撮だとよく分かる。


酒場で久しぶりに外食することにして肉にかぶりつく。こういう僻地の酒場に一人で現れる日本人は多くのケースで私が初めてであり可愛がられる。

「この村の水はどこから持ってきているのか?」と尋ねたら「4つの井戸で地下1300mから汲み上げている」だって。

1300mの深さの井戸で水温は98度。それほどまでに掘り下げないと水がない。温泉を通り越してもはや原油採掘のレベルである。オーストラリアという所は海沿い以外ではそれほどまでに水の存在しない大地だ。水道料金は凄いことになっているのでは。


所変わってここは私のヒーローのひとり、映画”クロコダイルダンディー”の酒場シーンのロケ地だった寒村。なお寒村というのは表現上のものであって実際は地獄のように暑いけどね。リノベーションされてて雰囲気はもうかなり映画とは違うが


ロケ中のミック・ダンディー様の生写真!


ネバネバ冒険社の看板!

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