Site icon 【公式】オーストラリア唯一の日本語専門バードウォッチングガイド 太田祐(AAK Nature Watch)

クィーンズランド州北西部、西部11日間その4

シラガトビ

アウトバックを走行中に絶滅危惧種のシラガトビが飛んでいるのに気がついて停車。制限速度100kmの未舗装道路が続くアウトバックではアスファルトを走っているのとは違い、強目のブレーキを踏むと車が簡単にスピンしそのまま路肩に落ちたり横転してアリ塚に突っ込んだりして行き倒れになるので気をつけること。以前オーストラリア人のバードウオッチングの第一人者とその妻が砂漠で車のトラブルで進退極まり、でもそのサバイバル力で二週間アウトバックを淡々と生き延びて救助されたことがある。対照的に海外から来た人々はアウトバックで立ち往生するとパニックを起こし、歩いて何処かへ向かおうとし(どこへ?)その日のうちに熱死する例はいくつもある。


(最後に道路を横断するのはオーストラリアオオノガン)


同じ鳥でも旋回するとガラッと印象が変わる。


頭に光が当たり、シラガトビの名前の通り白い頭部が目立つカット。


アウトバックの中に突然変異、オアシスとして登場するローンヒル国立公園。日本やケアンズなど緑や水が溢れる土地からここへワープしてきたらそれほど感激はしないかもしれないが、何千キロも土埃、砂嵐、赤土、未舗装、灼熱といった土地を通過してきた人々には衝撃的な光景となって映る。おい、水だ、水があるぞ!!


さっそく国立公園内を歩き回る。暑さのため行動できるのは午前中と、午後四時以降に限られる。ウスユキバトが足元から飛び出して枝に止まった。


ハイイロモズツグミの若いうちは成鳥には全く見られないオレンジの眉やアイリングを持つ。


水辺のよく茂った藪の近くに暮らすワキアカヒタキ。


巨大なアリ塚を点検する親子。ケアンズの近くタウンズビルから来たというこの父と子はそっくり。まるでクローンである(まあ半クローンな訳だけど)幼い頃から猛暑の中岩山を歩き、長期のキャンプを張り川で泳ぎ、典型的なオーストラリア人が育っていく。


岩場や荒れ地を進んでいく。峠まで達すると…


ローンヒル国立公園で最も著名な渓谷が眼下に飛び込んできた!
「Hoooooly Shxxx!」
「Oh my xxxxx!」
といった学校では決して習うことのないスラングを連発しながら水辺へ下る。まあ独り言というやつだ。


オアシスだ。


パラダイスだ。


アウトバックを何千キロも走ってからたどり着くというアプローチまで含めれば、これまでオーストラリア各地の無数の国立公園の中でトップ5に入る美しさと思ったのがローンヒル国立公園だ。春休みの週末であり相当な人手を覚悟していたが、キャンプをしていたのはわずか2−3組で嬉しい誤算だった。


カヌーで進む老夫婦。なお高い岸壁に囲まれた渓谷では話し声は遠い所まで届く。

 男性 「(漕ぎながら)夕食は目玉焼きにするしかないな」
 女性 「なんでそうなるのよ(漕ぎながら)」
 男性 「(漕ぎながら)もう卵しか食糧がないだろうが」
 女性 「オムレツだってできるわ。よく考えなさいよ(漕ぎながら)」

とカヌー上で議論しながら私の前を通り過ぎていってかなり笑えた。


年を取ってもオーストラリア人はもの凄い筋肉をしている。怒ったら都会のアジア人など握りつぶされそうだ。

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