Site icon 【公式】オーストラリア唯一の日本語専門バードウォッチングガイド 太田祐(AAK Nature Watch)

クィーンズランド州北西部、西部11日間その3

キバラメジロ

カーペンタリア湾の野鳥はダーウィンのそれとかぶる。キンイロモズヒタキやシロハラモズヒタキ、それからこのキバラメジロなどいずれもマングローブ系の野鳥が見どころになる。まあこのへんはもう過去に撮っているのでサラッと。それにスクールホリデーであることを差し引いてもカルンバの観光地化は予想以上だった。


ジャバヘリグロシロチョウのオーストラリア亜種。

マングローブ際に車を止めて車内でバードウォッチングの支度をしていたら職務質問を受けた。指定地以外での野宿、浜を四駆で走り回ることなどいずれもオーストラリアでは違法である。とくにオーストラリアでは車中泊などキャンプに対してのアレルギー反応は異常なほどであり、制限速度を30-40kmも超えて超危険高速運転をするよりも車中泊の方が罰が重い(ケアンズでは罰金5万円)というバカバカしい法律をこの広い無人の大地でせっせと運用している。これも全国どんな過疎地にでもあるキャンプ場業界の圧力によるものだ。オーストラリアの奥地ではスーパーもガソリンスタンドも郵便局もない人口何十人の集落でもキャンプ場なら集落のメインストリートにほぼ必ずある。


怪傑なんとか、を連想させる仮装顏のムナグロオーストラリアムシクイのメス。右奥にオスも写っている。オーストラリアムシクイは通常オスメスがいっしょにいるが、みなキレイなオスをカメラで追いかけるので、その結果メス画像がレアな存在になる。


ケアンズ周辺にはいないノドジロムジミツスイ。やはりダーウィンとかぶる。それからアイアンレンジ。


これもケアンズでは見られないマミジロウ。図鑑の分布図では思いっきりいることになっているが、実際はこの10年で一度か二度がケアンズ沖で目撃されただけだ。オーストラリアのメッシュ分割された厳密な分布図は、図鑑のおおまかな分布図とは随分と違うはずだ。


今度はオスが前に出てきた!


綺麗だけど、さすがにムラサキオーストラリアムシクイには及ばないかな。


猛禽類の巣の軒下を利用するキンカチョウ。これはフエフキトビの巣だけど、他にもチャイロハヤブサ、オナガイヌワシなど様々な猛禽類の巣に間借りして営巣する。猛禽類が勝手に護衛してくれ雨も防げる片利共生と思われがちだが、逆にキンカチョウが先に敵の存在に気づいてアラームとして機能することもあると思う。


ケープヨーク西側やカーペンタリア湾で見られるオーストラリアチョウショウバトは過眼線のある独自の地域個体群である。とくに幼鳥の時は過眼線がさらに長く黒く、あきらかにその他地域のオーストラリアチョウショウバトと異なった外見をしている。


カーペンタリア湾を離れ、再び内陸へむけてアウトバック道路をずんずん走る。未舗装道路を時速100kmで対向車とすれ違う時、時折砂利が猛烈な勢いで飛んできて窓ガラスにあたり、ガラスにひびが入る。今回の旅では4カ所に亀裂が入った。自分の車だから亀裂がさらに増えたり広がったりしてからガラスを交換すればいいのだけど、レンタカーでは亀裂一発で何百ドルも請求されて悲惨なことになる。というか基本的にレンタカーは約款をよく読むと未舗装道路や日の出前、日没後の郊外運転は禁止しており(大型動物が頻繁に道路に飛び出す為)、舗装された都市部をおとなしく走ることのみ想定している。レンタカーを借りてアウトバックへ行こうなどと考えないように。
走りづつけた先には夢のようなキャンプ地が待っていた。


断言する。私がこれまでオーストラリア各地でキャンプをしてきたけどここが史上最高のサイトだと。しかもキャンプ場ですらなく無料。周囲は乾ききったアウトバックであり文字通りオアシスとなっていて、鳥影も非常に濃い。




ケアンズにはいないクチシロミツスイ。


ケアンズでは見られる場所も数も限られる人気のアサヒスズメだが


幼鳥だろうと


メスだろうと


ここでは人の足元にまさにスズメのようにいる。呆れて笑えるほどそのへんに多数いる。
←洗濯を兼ねて川の中で涼を取る。


こんな所で無料でキャンプをしていていいのならこのまま一週間くらい何もせず静かに沈没しそうである。オーストラリアやアメリカのこういった指定のキャンプ地には「最大連続滞在は1ヶ月まで」といった日本では必要無い注意書きがあることが結構ある。

それは無期限で滞在しかねない私のようなヒマなナチュラリスト、リタイヤ層が大勢いるからである。(続く)

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