Site icon 【公式】オーストラリア唯一の日本語専門バードウォッチングガイド 太田祐(AAK Nature Watch)

晩秋のメルボルン クビワミフウズラと海鳥観察船その1

オーストラリア南部のニューサウスウェールズ州やビクトリア州には世界的な珍種とされるクビワミフウズラが分布している。海から遠く離れたオーストラリア内陸の草原に活動する夜行性の野鳥ながら、オーストラリア国内には近縁な種はおらず自身一種だけでクビワミフウズラ科を構成する。その姿は名前の通りミフウズラにも見えるけど実はミフウズラではなく(足が長い)、ウズラにも見えるが嘴が細すぎ首が長すぎ、チドリとも言えなくもないけど内陸の草原を夜間に徘徊するその生態はチドリのイメージとかけ離れている。遺伝子的に一番近い仲間は地球の裏側の南米のシギだというから、クビワミフウズラとは一体何者なのか、何があって南米の仲間と離れてオーストラリアの真ん中にポツンと生きているのか興味の尽きない相手だ。英語ではPlains Wonderer(平原をさすらう者)という。名前も普通の野鳥とは格が違う。

こういう夜行性の相手を現地のプロなしでワンチャンスで出会おうというのは無謀という。例えるならガイドなしでケアンズ数日で200種類以上見てやろう、とかガイドなしでセキセイインコの大群を見にいこう、とかヨーク半島に自分で行こう、というのと同じだ。私も今回は大人しく知人に案内を頼んだ。彼が「今なら多分会える」と言ってきたタイミングでちょうど安い航空券が売られていたのだ。

他にもメルボルン行きを後押ししたものは、少し前に念願のアクセス権(鍵)を入手し、1人で自由に探鳥できるようになったメルボルン郊外の大湿地帯をしっかり見ておこうというのがあった。これまでは現地ガイドを頼まないと湿地に入れなかったので数回そうしてきたけど、自分で運転するのとではまた違うので。


ロウバシガンがお出迎え。実は今夜がそのクビワミフウズラへの挑戦の予定であり、寄り道している時間はほとんどないのだが1時間でも湿地帯を見ておきたいという思いでやってきたのだ。自分で鍵を開けて中に入った瞬間は感動した。申請から何年もかかっただけに。

メルボルンでの野鳥ガイドに大きな進展!



ロウバシガンも野鳥っぽくない、独特な鳥だよ。
歩いて回ったら1週間かかるんじゃない?という国内最大級クラスの大湿地帯は、車でざっと回るのにも1日半かかる。とりあえずほとんど鳥も見ず、過去数回現地ガイドが使った巡回ルートを確認しただけで後ろ髪を引かれまくりながらクビワミフウズラ探しの会場になる田舎町まで3−4時間の大移動をした。「18時に始めて遅くとも22時までには終了する、最大で2時間草原を歩き続ける、雨が降ったら避難できるようなところはないぞ」と散々脅されていたので、強風、雨、寒さ対策に加え、ライト各種、予備バッテリーなどフル装備で出発する。

歩き始めて100-200m?オーストラリアウズラを発見。夜の草原をライトを持って複数の上級者が歩き続ければ、クビワミフウズラ以外にも色々見つかる。哺乳類のオブトスミントプシス(Fat-tailed Dunnart)は初見。


いつも足元から飛び出していくのを指を咥えて眺めるだけに終わるヒメミフウズラもこの通り!夜は飛んでいかずその場にフリーズしてくれる。隣にもう一羽いたのは気が付かなかった。と、その時


クビワミフウズラ登場!早っ!2時間歩き続けるんじゃなかったのか!?

クビワミフウズラはあまり飛ぶことはなく、身を守る手段はそのカモフラージュ柄に依存している。

タケノコに頭を載せたような姿の鳥だな。

ロクヨンレンズはフラッシュも使わず、手持ちで夜の闇の中でこんなのが取れてしまう時代になった。どんなに鳥を見つけるスキルがあっても、長いレンズがなければ撮れないものは撮れない。私は他事への出費で忙しく数年遅くなったけど、これから十分楽しませてもらう!

Exit mobile version