Site icon 【公式】オーストラリア唯一の日本語専門バードウォッチングガイド 太田祐(AAK Nature Watch)

南オーストラリア州中部 4種トゥイッチ弾丸旅行

ボーディングパス(8月末の話)オーストラリア内で観察してきた野鳥が700種を大きく超え出すと、もうあまりまとまったライファーが残っている土地はオーストラリア大陸広しといえどもそんなにはない。アリススプリングスあたりに2-3種、ブルームあたりに2種、ナラボー平原あたりに2-3種、放浪性のミツスイが2種、それ以外ではヒメフクロウインコとかニシキジインコとかテンニョインコとか、ニュース記事レベルのウルトラ希少種が大陸の辺境にパラパラ残るだけとなった。私は20代前半から初めて比較的早くプロになったので毎年一箇所づつアタックしたら40代のうちにオーストラリア大陸の野鳥は終わってしまうわけで、大切に楽しまなければならない。

今年はそんな中で未訪問地帯だった南オーストラリア州中部に残る4種類の野鳥を5日間で片付けてしまおうという計画を練った。普段私は1人で行動しているけど、T君も行きたいというのでレンタカーやガソリン代をシェアすることができた。夜8時半にアデレードに到着した我々はそこで休むわけはなく、夜中1時まで運転を続けて道端で野宿。


夜が明けて早速ポートオーガスタの探鳥地に繰り出す。ミツスイが騒いでいたが、実はこのメンフクロウを集団でモビングしていた。そのうちにフエガラスなども加わって袋叩き状態になったメンフクロウはどこかに飛んでいってしまった。


スターツデザートピーはオーストラリア南西部のカンガルーポーとならんでおそらく最も有名で衝撃的な見た目をしているネイティブ植物。


シロビタイミツスイは放浪性が強いけど、これだけオーストラリア国内を旅しているとかなり各地で出会っている。


ミミジロコバシミツスイの鳴き声は内陸部の象徴的な音の一つ。顔もエナガ系で可愛らしい。


象徴的な音と言えばこのケミミミツスイは外せない。


Spotted Jezebel。

開拓時代、ほぼ徒歩でオーストラリア縦断を達成しながら帰途にグタグタになり一名を残して全滅した有名な探検隊バーク&ウィルズ。彼らの命をしばらく繋いでいたのはこのナルドーから作る原始的なパンだった。
この探鳥地は総合的に鳥が多いけど、目的はカンムリハシリチメドリだった。他のものをいくら見ても私にはあまり関係ない。一回、10mほど前の木を飛び越えていった灰色の中型の野鳥が怪しかったが確認できず。もう少し時間をかけれればだけど、先を急ぐことにした。

「南オーストラリア州」という言葉の響きからは何かリゾート的なものを想像したりしないだろうか?実際は沿岸を除いてほとんど砂漠地帯が広がり、湿度は一番低い。南オーストラリアの野鳥ガイドが引率してきたツアーをケープヨークで今年2週間案内したけど、彼が面白いことを言っていた。『南オーストラリア州には植物は30種類しかない。どこへいってもその比率や大きさが変わるだけで、覚えるのは30種類だけだ。しかしクィーンズランド州の熱帯雨林なんて30種類知っていても何の意味もない』と。

今回のターゲット4種類の中で、前評判的に最も難航すると見られていたヒメノドジロセスジムシクイが観察できる場所として一番有名な山へ向けて未舗装道路を数時間進む。途中ターゲットのウエスタングラスレンを車の中から見つけたが、機材を用意したりしているうちにどっかにいってしまいハジロオーストラリアムシクイのメス達に入れ替わってしまった。その山はなかなかの僻地であり、携帯は圏外、ガソリンは常に満タンにしスペアタイヤは二つ持てよ、みたいな道路標識を見つつRav4のレンタカーに乗る身としてはドキドキした。

到着してすぐ、クルマサカオウムが飛んだ。

まあ何という不思議な雰囲気の山だろう、まるで油絵のようだ。(その2、3、4…7まで続く)

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