タスマニア南西部の原生地帯にはサザナミスズメが他のどこよりも多く暮らしている。綺麗なんだけど、なんか変な顔でもある。
タスマニア固有種のタスマニアヒタキ。背景には豊富でユニークな植生が広がっている。
こちらではサンデューと総称されるネバネバ系食虫植物。これも好きな人多い。
熱帯雨林やユーカリ林がホームの人間にとって、ヒースは訳の分からない世界に見える。
とりあえず周囲は文明から極限まで離れた原野。画面左端にかろうじて確認できるのが、文明へと続く片道数日間のトレッキングコースらしきものである。長靴必須。ここまで運んでくれたブッシュパイロットによるとあまりの原生ぶりや一年中吹き荒れる風と雨に途中でリタイヤするハイカーも多いという。あと単純に川の増水が凄すぎて渡れない、というのも多いらしく実際この日も二人のハイカーが徒歩による文明への帰還を断念して滑走路で飛行機が来るのを待っていた。「あんな川、徒渉できるわけないだろう!」「さらにでかい川がその先にもう一本あると聞いて断念した」と。
丸太一本の橋。滑ったら川に落ちるしかない。タスマニアの川はタンニンの濃度が凄くて紅茶色をしているところが多いが、ここまで奥地にくると黒い川だ。川にタンニンが溶け込んでいるのではなくて、タンニンに水が混じって流れていると言った方がいいくらい。この川が流れ込む湾の水も真っ黒であり、わずか数メートルの水深で深海魚が暮らしていてそこは新種だらけという今注目のスポットもある。光を通さない水だ。
でもアカハラワカバインコが絶滅する前に見ておきたいならこの世界の果てまで来るしかないよ。それも数年以内に。
タスマニアアマガエルと呼ばれていた、トノサマガエル似の一種。結構珍しいらしく後日よかったねよかったねと言われた。
そしてここはハイカーの避難小屋でもあり、アカハラワカバインコ保全プログラムの最前線で奮闘するボランティア達が寝泊まりしている小屋。
この寒い世界の果てで、電気も電話も水道もテレビもシャワーもない掘っ立て小屋に寝泊まりしながら無給で泥まみれになりながら鳥のために奮闘している人たちを聖人と呼ばずに誰が聖人だろう。開発業者や政治家をここまでひきずってきて閉じ込めておきたい。それから知識も経験も愛情もない割にコピペで偉そうなことを言ったり書いたりする何人かの「自称動物ガイド」達もね。井戸の中のヒキガエルとは彼(彼女)らのことだ。
ちょっと見学です、ライターです、お邪魔します…
素敵!
なお、知らない人のために書いておくと私は歴史あるワンダーフォーゲル部の出身でアウトドアは子供の頃から。そしてその頃から単独行&人の居ないところ思考だったわ…。山に登るのが好きなのではなくて、山の中に居るのが好きなタイプ。
萌える!男の夢のような小屋。私はまだ現役世代だから少し働いていないといけないけど、その後はこんなところで暮らしたい。この1-2年ほど、ツアーに来てくれた人に「私が野鳥ガイドをしているうちにまた来てくださいね、そのうち超僻地に引っ込みますから」「カウボーイになるのもまだ諦めてませんし」とよく言っているし、実際に身辺の整理も既におおむね終わっている。
世界の果てにあるこのサッカー場一枚分くらいの滑走路が、この巨大原生地帯と文明をつなぐ細い糸である。天候が悪化しセスナが来られなくなればここで何日も待つ、と。まああの避難小屋もあるから死ぬことはないでしょう。今日はちゃんと迎えの飛行機が来た(ただし離陸後風雨が強まり前方が見えなくなり、本来とはまったく別ルートを飛行。実は際どかった。)そもそも行きのフライトも天候不良で翌日に順延している。
名残惜しいけど今回は帰りますか。
なんでコックピットに座ってビデオとか撮れるんですかとか?聞かないように。
これは実は主に帰りの映像だったのだ。