カワセミは水辺の鳥である、というのは半分誤解でオーストラリアのカワセミで水中にダイブするのは2/9だけであり、多数派は林に暮らしている。中でもコシアカショウビンは過酷な荒野を生息地にしており、水辺とは全くと言っていいほど関係がない。
←日本やヨーロッパなら「城壁跡」とされそうな天然の岩壁。私は時々こういう岩に登ってはかすかな携帯の電波を捉まえ、そこから仕事のメールを送受信したりしている。
知人「そこの壁の前に立って」
その妻「あの鳥は何?」
知人「カメラの方を向いて」
その妻「見たことない鳥よ?」
知人「いいから写真撮るからこっちを向いて」
その妻「ネズミみたいに走り回っているわ」
知人「…なんだって!?」
実はそれが初めてみるムナジロセスジムシクイだったという衝撃の出会いを果たしている。
ちらほら見かけたコマチスズメ。レンズが600mmだと、これまでの400mmレンジに比べて使える写真になるケースが増える。ただそんなに劇的な違いではなく、やっぱりテレコンもいるのかな。
ニジハバトの羽が名前の通り輝いていた。
遠くから見てアカワラルーだと思って撮っていたけど、写真を見てみると灰色型のアカカンガルーだった。アカカンガルーはクィーンズランド州はギリギリ分布の圏外に位置し、いつもその存在がすぐに出てこない。
ローンヒル国立公園は現在は公式名称をブージャマラ国立公園と名前を先住民のそれに変更されている。しかし古くからのユーザーには俄には受け入れ難く、多くの人がいまだにローンヒルと呼んでいる。
これはもはやインディージョーンズの世界。ローンヒルはオーストラリア中の辺境を旅してきた私がトップ5には入れる素晴らしい土地だ。これでもう少しムナジロセスジムシクイがいればね。
北部準州ではほぼ絶滅したと見られ、ローンヒルもかなりそれに近い。私が初めてセスジムシクイ調査に参加した7−8年前、打ち上げ時に今調査でセスジムシクイ遭遇率は6%だったと聞いて「いやあ、難しい野鳥ですね」と答えたら「違う。6%はこれまでのベストに近い数字だ。ムナジロセスジムシクイは健在で安全だと言える」と訂正されたのを覚えている。遭遇率6%というのは、経験豊富な調査員100ペアが3時間の捜索を行い、6ペアがセスジムシクイを発見し94ペアは見つけられなかったという状況。その何年か前の調査では4週間を投じてムナジロセスジムシクイの遭遇率ゼロという壮絶な討死を演じた年もあったという。
それがどうだ、昨年のムナジロセスジムシクイ遭遇率は50%を超えており、今年は60%を超えてしまった。一体何が起きている?まだ我々もその理由を解明できていない。