Site icon 【公式】オーストラリア唯一の日本語専門バードウォッチングガイド 太田祐(AAK Nature Watch)

オーストラリア産鳥類700種へのスパート – ビクトリア州探鳥の回想1

当時オーストラリア産鳥類の合計数が694種だった私は、ケアンズが雨季の閑散期を使ってまだ未見だった野鳥のうちビクトリア州に散在するおよそ10種類に目をつけた。1日あたり1種の新種。そんな青写真通りに行けば一週間かからずに700種を越えられる…

お昼過ぎにケアンズ空港を飛び立った飛行機がメルボルンに着陸するのは夕方になる。だが幸い高緯度地方であるメルボルンの夏の陽は長い。カローラを借りて暗くなるまで走り続け、誰もいないオフシーズンの無人野営地で夜を明かした。途中でスーパーに寄って食料や持ってきたクーラーボックスに入れる氷は買い出ししてあったのだが、ガス缶を入手し忘れるという凡ミスにより火が使えず貧しい夕食となる。そして普段のランクルと違い、カローラの車内は寝るには狭い。

若者の貧乏旅行のようだが、私の場合は旅行は手段であって目的は未見で散在する野鳥を少なくとも後6種、できれば10種類見る事であって、泊まる場所は全くどうでもいい。翌朝、まだ暗いうちから野外に飛び出した私は
ミナミメグロヤブコマ

早速ミナミメグロヤブコマを発見し幸せ一杯!


過去に何度か意識的に探したが見つからなかった野鳥だが、もうその頃とは経験もテクノロジーも比較にならない。結果的にこの一週間の旅でミナミメグロヤブコマは何度も見かけた。これで695種になった。このエリアには他にもメグロモズヒタキも可能性があるんだがと歩いて行くと


いた!メグロモズヒタキ。


鳴いてた。これで696種。うーん簡単だ。どんどん行こう!
と、ミミジロセグロミツスイの目撃があった丘に行ってみたが、まず普段のランクルと違ってカローラでは麓まで行くのに四苦八苦、そしてランクルなら余裕で登っていける道を断念し麓から徒歩で進まざるを得ず大きくロスをする。結果的にミツスイは見られなかった。
まあ放浪性が高い事で有名な種なので、目撃があって1−2日以内ならいざ知らず、二週間も前のそれでは最初から期待はしていなかったけどな。早めに見切って次へ行こう!




オーストラリアに少数が残る野生化したダチョウ。これで696種!ダチョウは各地の牧場などでも半野生のものや飼育されているものがいるがそれらは野鳥として認められず、一般的にはNSW州とVIC州の州境やSA州北部の個体群のみが野鳥として認定される。今回私が狙ったのはNSW州とVIC州の州境の個体群だが、駆除プログラムが進行しておりその数は残すところ後わずかという状態だった。遠くないうちにこのエリアからは消滅するだろう。

探鳥初日はここまで。1日で新しく3種とはこのクラス(700種前後)では素晴らしい成果。この夜も他に遠くにひと組がいるだけのオフシーズンの野営地で就寝。二日目にして私は狭すぎるカローラの中で寝る事を諦め、ツェルトの中に軽量コットを入れて寝る本来のスタイルに復帰した。このセットはわずか1500g程度でありマットもいらず、旅行にも簡単に持っていける。

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