Site icon 【公式】オーストラリア唯一の日本語専門バードウォッチングガイド 太田祐(AAK Nature Watch)

オーストラリアの植物図鑑 レビュー

ここでは、オーストラリアの植物や花に関する本のうち、
1.私が実際に所有していて
2.日本からも入手が可能で
3.オーストラリアだけを対象にしている書
を一覧にしようとしてみたけど、②の条件が非常に難しい。ほとんどの蔵書はここで引っかかってしまった。なので日本から入手が難しそうなものも掲載した。


熱帯雨林に分布する植物に特化したフィールドガイド。特色は、樹の全体図をちゃんと描いている所。この手のフィールドガイドは、例えば花!とか葉!果実!がアップになって描かれたり写っていたりするものだけどそれだと全体像が分かりにくい。この本は例えばヤシの樹も引いた構図で根元から葉先まで一続きで出ている。当然イラストはかなりちっちゃくなってしまうけど、目線を変えて探せるのでほかのフィールドガイドと一緒に使うといい。
いままでで最悪の一冊。敢えて記念に載せておく。詳細はこちら
ちょっと趣を変えて、ブッシュタッカーものを1つ。ブッシュタッカーとは要は山の幸の野草を中心に、何がどう食べられるのかというガイドブック。著者は同じような本を新旧大小いろいろ出している。この分野の本に共通して感じる事なのだが、途中で投げ出し気味。例えば「茹でたものは咳に効くお茶になる」と書いてあってもですね、どの部分をどの位の時間茹でるか、年間を通じてやっていいのか、どのくらいの量を飲むべきか、とか具体的には何も分からないのである。また、「この植物は強い毒があり食べる場合はごく少量にしましょう」っていうのは、「食べられない」扱いでいいと思うんですよ。「徹底した毒抜き処置をすると食べられる」もそう。掲載種の3割くらいがこのような毒マーク付き。普通に食べられそうなものだけを載せろ。
Bush foods and medicines of Cairns / Gumba Gumba Publications
上に同じくブッシュタッカー本。アボリジニ系の出版社で、個性溢れる編集。植物に限らず、生き物も対象にしている。
FRUITS OF RAINFOREST OF AUSTRALIA / Wendy Cooper
果実、または葉の形状からさかびきするような熱帯雨林の植物図鑑。600ページを超える有名な超大型本で、当地のナチュラリストでこの本を持っていない人は先ずいないだろう。値段も横綱クラス($200以上)そんなに頻繁に使わないのなら図書館で閲覧すればすむことだけど。イラストも大きく、果実の同定にこれ以上の本は無い。基本的に学名で書かれている専門書。果実か、葉のイラストから逆引きする造りだけど、葉の方は極めてシンプルなモノクロ鉛筆画である。ここから逆引き出来る人は相当な専門家だろう。もっぱら果実から調べる事だけに使っている。
AUSTRALIAN RAINFOREST PLANTS / Nan & Hugh
シリーズ物5冊。写真は専門なフラッシュマクロ撮影がされており、ダントツの質の高さを誇る。花や果実と言うのはこうして撮るのかとほれぼれする。ただあまりにクローズアップ撮影され過ぎて同定用途にはとても使いにくい。全掲載種において「ガーデンで育てるには」という一口アドバイスが添えられているのも特徴。個人的には、5冊にバラバラにせず一冊の大きな本にして欲しかった。なぜなら調べにくいから。
PLANTS of Tropical North Queensland / John Beasley
地元愛好家による地元植物ガイド。しかし掲載種は多く、何だろうと思って調べる植物のほとんどは掲載されているという素晴らしい一冊。もし、ケアンズの植物について一冊だけしかもたないのならこれがいいと思う。説明内容も写真も最低限だが、実用的な水準には達していると思う。
Native Plants- the definitive guide to Australian plants / Global Book Publishing
掲載種の半数以下しか写真を伴わないので、同定にはまず役に立たないが持っていれば役に立つ事もたまにある大型本。ボタニストでないのに蔵書するまでではないかなという印象。
The Fabulous Flowering Trees OF CAIRNS CITY
A WALKING GUIDEという副題の通りケアンズ市中心部の花を咲かせる木をピンポイントで写真と地図付きで紹介した本、というかメモ帳的な私家版風の小型本。派手な花は大体紹介されているのでケアンズに暮らしたり長期滞在する人には役に立つ一冊。
植物と同じように野鳥に関する図鑑のレビューページや、その他動物に関する図鑑のレビューもあります。合わせてご覧下さい。

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