Site icon 【公式】オーストラリア唯一の日本語専門バードウォッチングガイド 太田祐(AAK Nature Watch)

ツツガムシの仲間 Scrub itch

先週久々に動物探検ツアーに出たらやられた。まぁ虫除けも忘れてたからあれだけど、そういえばこの時期にある程度標高のある熱帯雨林に夜間入っていけば刺される体質の人は刺される。ちなみに私は蚊はあまり寄せない。ケアンズを含むオーストラリア北部でのツツガムシの害に関しては検索しても何も日本語での情報が出ていないようなのでちょっとまとめておきたいと思う。(ただ、私は研究者ではないので私の経験をもとにしてます)


オーストラリアでScrub itchといえば、バードウォッチャーなどの生き物好きの人々やハイカーには大体通じる。Scrub itchはダニ目ツツガムシ科の大変小さな生き物をひっくるめて呼ぶ言葉。肉眼ではまず見えない大きさと思っていい。
12月から3月の夏場、標高が比較的高い熱帯雨林を中心にそれに隣接する草原などで被害に遭う事がほとんどで、夏以外は気にする必要はまず無い。下草などに乗っかって獲物を待っていて、くっついて登ってくる。刺される場所は、膝より上からへその辺りまでに集中。ひどいときは40カ所以上めったざしにされ、気が狂う程痒く、数日間持続する。ほとんどの人はその時点で病院に駆け込むが、今まで受けた診察でツツガムシの被害と診察できた医師は一人もいなかった。皆、蚊やサンドフライだと言い張る。いや、厚手の長ズボンを履いていてその上から蚊やサンドフライがさせるわけないのに。しかも露出してる首や腕、顔は全くの無傷で?これはScrub itchという虫の被害だよ、学名は Trombiculidの larvaだよと教えて上げる。どっちが医師か分からん。また、刺される感覚がないので寝ている間に家ダニやナンキン虫にでも刺されたかと思う人も多いみたいだけどそれらとは噛み跡も集中度も痒さも異なります。
残念ながら被害にあったらとりあえず、一般的なかゆみ止めも多少効果はあるけど専用の薬も出てる。民間療法では、シラミ用シャンプーでこするとかガソリンで拭くとか、刺された場所に虫除け薬を塗るとかいろいろ怪しいものもあるけど試した事は無いです。
さて、さっきから刺す刺すと書いているけど正確には「皮膚の内側に入り込んでいろいろ吸ったり食べたりしている」です。で、満たされると自ら脱出してその後は微生物などを食べて生活していく為、人間を含む哺乳類や鳥類には無害な生き物になる。ツツガムシの仲間 Scrub itchは成長過程で一度だけ、人間を含む哺乳類や鳥類の皮膚に潜り込みいろいろ悪さをしないといけない。その結果強烈なかゆみが襲ってくるわけで、掻かずにはいられず(あれを我慢できる人はすでに悟りの域にある)結果として何十カ所もの傷跡が長い間残ってしまう。また、最近は抗生物質の進歩でおおむね助かるみたいだけど過去には死亡率30%(一説には60%)以上を誇った伝染病、ツツガムシ病の病原菌を保有している個体も極少数ながらおり、東北地方を中心に日本でも、またタウンズビル以北のオーストラリアで現在でも被害が出ている。
◇刺されない為には◇
前述のような時期と場所を避ける事。
では身もふたもないのでもう少し。やはり虫除けです。肌が出ている所だけシュッシュッとしたくらいでは何も防御にはならないです。蚊には有効ですが。
服の上からも執拗にスプレーして下さい。4往復くらい。または、ブッシュマンエクストラやブッシュマンウルトラといった虫除けクリームが強力です。強力過ぎて時計のゴムバンドや文字盤、メガネや携帯などのプラスチック塗装を溶かしてしまうくらいしっかりとあなたを虫から守ってくれます。。

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