Site icon 【公式】オーストラリア唯一の日本語専門バードウォッチングガイド 太田祐(AAK Nature Watch)

祖母の死

※この先は自分自身にとっての記録として。ケアンズとは何ら関係なく、オチもない暗い話です


3時間前まで元気にしていた日本にいる祖母が、浴室で亡くなっているのが発見された。
私は20年くらい祖母と同居していたし、母子家庭に育った私にとっては”日常に常にあたりまえに存在するもの”だった。どこかか悪くて入院や通院をしていたわけでもなく、家の電気もテレビも付けっぱなしで何の前触れも無く消えてしまったその存在は、驚きや悲しみや寂しさや、いろんな感情をごちゃまぜにして叩き付けられたような、大きな衝撃波として頭を駆け回っている。常々、苦しみながら生きながらえるよりぱたっと成仏したいと言っていた祖母は、まさにその言葉通り突然旅立ってしまった。それはあまりにも。
私が小学生の頃に父親が家を出て、現在の所在はおろか生死すら知らない。母が働きに出るようになると、祖母と家にいる事が多くなり普通は「おばあちゃん子」になる事が多いらしいけど、私は祖母と徹底的にぶつかり合った。
世話焼きで、超保守的&古い価値観をもつ祖母と、私のようなタイプとの間では理解し合える事などほとんどなく、あえていうなら「二人とも中日ドラゴンズの熱狂的ファン」という一点くらいしかなかった。オーストラリアに移住する際にも、祖母の事など微塵も考えなかったね。ほんとに、つめたいやつです。
祖母の亡骸は本人の希望通り、医学部へ提供されて実家には遺骨もないそうだ。ほんとに、全て希望通り突然マジックのように消えてしまった。
祖母の家に電話をかけてみた。
もちろん、誰も出ない。でも、今にも「もしもし?」と祖母が受話器を取りそうで。
でも、現実はその家は事実上空き家になってしまっているわけで。祖母は誰にも看取られずにそこで息を引き取ったわけで。自分がいる、ケアンズの暖かく明るい部屋と、静まり返って誰もいない家。そこに鳴り響く、とる人のいない電話の音。
そのあまりの隔たりに気がついたとき戦慄のようなものを感じた。
おばぁちゃん、私は
あなたが望んでいるような
まっとうな人間には全然ならなかったね
でも
あなたが
自分らしく過ごし
自分らしく
望み通り
消えていったように、
私も自分らしく
これからもいたいと思います
今更ながら
今日一日は
あなたの事を考えて
ありがとうを言いたいです
それは
花を添える事も出来ない
遠い外国からですが
ほんとうに、今更ですが
ありがとうを言いたいです
そちらでも
野球中継
見られるといいね

Exit mobile version