Site icon 【公式】オーストラリア唯一の日本語専門バードウォッチングガイド 太田祐(AAK Nature Watch)

「ぼろ儲け税」はどうなるのか

正しくは資源関連超過利潤税、と訳すらしい。ケビンラッド首相を辞任に追い込むことになったあの新税のこと。私は、単に「ぼろ儲け税」と呼んでいる。オーストラリアの資源産業に関して予備知識の無い人はまずこちらへ
 https://www.qldre.com/24_nov_2007/index.html


数年前のTOYOTAが、利益が一兆円を超えたとして話題になったけど、日本の六分の一の市場(人口)しかもたないオーストラリアに利益が年間一兆円を超える企業がいくつもある。何をしている企業かというと土を掘って、出てきたものを売ってる。そこには何の創造性もリスクも無く正に現世のゴールドラッシュ。
 当然国に目を付けられて、儲け過ぎだからもっと税金を払わせようというのがこの度の資源関連超過利潤税。やっぱり、ぼろ儲け税と言った方が分かり易い。これは凄い税で、利益に対して40%という猛烈な課税を行なってやろうというもの。10年前東京都が預金量5兆円以上の銀行を対象に外形標準課税を導入しようとして大きくもめて銀行業界と裁判になった事を覚えているだろうか。その時の係争の税率は3%だったから、このオーストラリアのぼろ儲け税40%というのは国も凄いが、企業側もそれほどまでに儲けまくっているという事だ。でも相手が悪かった。
 政権は30億円をかけてこの「ぼろ儲け税」のPRをしたけど資源業界は80億円を投じて反政権キャンペーンを展開。かれらは金が有り余っているのだ。また、オーストラリア国民も労働者としてその繁栄を謳歌しているのだから(インフレ抑制のため一ヶ月ごとに利上げ、利上げ、利上げ、なんてやっている国は(1)今世界の先進国ではオーストラリアだけだろう)新税反対、で政権が吹き飛んでしまった。日本とは異なり、オーストラリアで任期途中で首相が変わる事はとても珍しい(2)。
 
 世界遺産の筆頭候補にもなっているケープヨークにもボーキサイト鉱山開発の手が迫っている。開発が決まれば道路は完璧に舗装され、貴重な自然はめちゃくちゃになるだろう。お膝元のケアンズでも「開発か、ヤシオウムか(どっちをとる)?」という議論は多少あるものの、鉱山に逆らっても無駄、相手が強すぎるという諦めが大きい。私は、この「ぼろ儲け税」が導入されればケープヨーク開発にかなりのブレーキになるのではないかと喜んでいたのだが、もはやこれまでか。
もうあとは、ヒメフクロウインコ級の希少動物が集団で見つかるとか、スティーブアーウィンをあの世から召還する位しか開発を止める方法が思いつかない。

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