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柳田邦男 著「事実の素顔」

「現在を考えるヒント 多発する内外の事件、情報の洪水から何を読み取るか」文庫の帯より
いつから持っていたか分からないのだけど本棚に転がっていたのをふと読んだ。時の流れは書物を思わぬ方向へ熟成させる事がある。この本は、今読んだから強烈だった。タイトルや帯からは全く古さは感じられないけど、実は25年前に出版された本なのだ。小説なら書かれた時代はそれほど関係がないけど社会モノは恐ろしい事になる。


何しろ、この本では1990年代中には、宇宙空間をマッハ25で飛行する500人乗りロケット型旅客機によって東京からニューヨークまで2時間で行けるようになることになっている。念の為、SFの本ではなく真面目な現代社会エッセイだ。東京からニューヨークまで2時間で行けるようになった場合の様々な問題点が真剣に検証されている。
あとアメリカの州知事クラスが日本企業誘致のため必死で来日するだとか、貿易大国日本、新入社員を会社人間にするには…とか、経済大国日本、世界の先頭集団、ハイテク繁栄謳歌、日本のGDPはもはや世界全体の10%を超え…といった、目にすると鳥肌が立つような言葉がいっぱい書いてあるが、著者には何も落ち度は無い。25年もたってから読む方が悪い。しかし、そんな時代も少しは生きてみたかったな。

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