Site icon 【公式】オーストラリア唯一の日本語専門バードウォッチングガイド 太田祐(AAK Nature Watch)

ツアーのディスカウント

JTBのチラシオプショナルツアーや入場券にも、電化製品や航空券同様に一般価格と業者価格とがあるわけですが。長い間、総合旅行会社は安い業者価格で仕入れ、割引なしに一般価格で現地スタッフを通じて観光客へ販売し利潤をあげていたわけです。だから、旅行代金自体はかなり低くしても採算があった。
けど、インターネット上に現地オプショナルツアーや入場券を割引価格で販売する会社が乱立しそのビジネスモデルは大きく崩れた。他の土地はよく知らないけど、ケアンズでは2000年頃から始まり、2002年頃から火がついた。総合旅行会社が努力して、広告して、何千人という社員を抱え、駅前等の一等地に店舗を出して集めた観光客は、皆インターネット上のディスカウント会社を通じてオプショナルツアーや入場券、お食事券を申し込んでしまうため回収が出来ず極端なケースでは海外旅行の申し込みが増える程に赤字になるという状態を招いた。


当然、総合旅行会社は「誰のおかげでケアンズに人が来ると思っているのか」と彼らから見ればハゲタカのようなインターネット上の会社に怒りを向けた。一時は、「インターネットでも販売されているオプショナルツアーなどは、一切これから紹介/掲載/取り次ぎを行なわない」という戒厳令のような状態になった事もある。ケアンズの企業は、インターネットの会社とつきあうのか、うち(総合旅行会社)とつきあうのかどちらかを選べと。けど、インターネット側も別に非合法や非人道的な活動をしているわけではなく、これまでのビジネスモデル事態が問題な事は明らかだった。結局崩れたのは総合旅行会社の方で、相次いでツアー販売用のホームページを開設。これをもって、全員が割引販売をするようになり「定価」というものは虚像になった。いやはや、インターネットというものは凄いものだ。閉鎖的な業界程に破壊力を増して暴れ回る。やりようによっては、夫婦で経営しているようなインターネット会社が、系列まで含めれば一万人以上の社員を抱えるような旅行会社と戦えるわけだ。民間企業の価値を「どれだけ利益を残しているか」という点だけに乱暴に限定すれば、夫婦の方が上回る事もあり得ない話ではない。
二枚の写真はJTBケアンズ支店で配布されている割引チラシの両面。とうとう、現地での対面販売でも割引が行なわれだした。それも大御所が。英語で書かれているのが最後のコダワリのようにも感じられる。
定価で販売する事が出来なくなったばかりか、密接な関係だったエアラインもインターネット系のジェットスター航空に替わり総合旅行会社を経由せず直接顧客を集めている現在、彼らはどうなっていくのか。幸い畑の違う所にいる私は興味深く見守っているわけです。

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