Site icon 【公式】オーストラリア唯一の日本語専門バードウォッチングガイド 太田祐(AAK Nature Watch)

長期の無補給キャンプ(車ベース)で必要な改造 1: 冷蔵庫の話

少し前の投稿で、今年も恒例の“2週間無補給で原野キャンプ(野鳥調査)”に行くことを書いた。


キャンプといってもテントを張れるような快適な地面もなければ(1発で穴だらけ)、2週間水さえも補給できず(川も沼もない)1人の人間も見ないかもしれないという水準のもので、参加者にはかなりの装備への投資が要求される。しかもガソリン代が出るだけのボランティアなんだから、冷静に考えればバカバカしい話なのだけど単に私がそれを好きだからと答えるしかない。


補給ができない二泊三日以上のキャンプでまず必要になるのが車載冷蔵庫だ。オーストラリアではキャンプや自動車旅行を楽しむような人の家には大体備わっているものだけど、あれだけマニアックなキャンプ文化がある日本では「クーラーボックス」が圧倒的で冷蔵庫はほぼ存在しないのが面白い。それはオーストラリアのキャンプが往々にして何週間や何ヶ月単位であることもあるけど、それよりも世界最低の人口密度により一旦街を出発したらもう補給ができないということが理由。


私ももう少し若い頃は$1200-1300程度はしていた定番の車載冷蔵庫を買うことができず、代わりに“7日間氷を保てる”という最高級クーラーボックスに氷を行く先々で買い足しながら2週間砂漠地帯を旅したことがある↓

いつもの砂漠地帯へ半月ほど行きます

現実には“7日間氷を保てる”ためにはクーラーボックス用量の3分の1相当の大量の氷が必要で、かつそれはクーラーボックスを開け閉めをしない場合。現実に1日何度も開け閉めすれば氷を3−4日おきに入手せねばならず(田舎価格で$15-20程度)、どんどん溶けて氷から水になっていく対応も面倒くさく、しかも三分の一を氷が占めるクーラーボックスには床面積に対して大してして食材も入らず、諦めて2016年に定番の車載冷蔵庫を買った。大体、オーストラリアの辺境を旅しながら三日おきに買い物(氷)ができるという前提が間違っている。

オーストラリアの不思議な物〜2【エンゲル車載冷蔵庫】

クィーンズランド州北西部、西部11日間その8(オジロオウギヒタキ)

これでもう10年以上は安泰だなと思ったのだけどいくつか不満が出て来た。
 1.定番の40リットルの容量は2週間無補給キャンプをこなすには小さい
 2.蓋が縦開きであり、横に開かないので中のものを取り出しにくい(特に奥)、かつ片手で蓋を抑えていないといけない
 3.消費電力においてエンゲルは決して優秀ではない。動作音も大きい

これらのイライラから2019年の2週間遠征を終えてエンゲル冷蔵庫は売却し、今回新しく用意したのがこれだ。

右端にあるのがBushman Fridgeの35リットル。さようならエンゲル。Bushmanは写真のように蓋が縦でなくて横に開くので奥のものが取り出しやすく、かつ片手で蓋を抑えている必要もない。「35リットルに小型化している」と突っ込まれそうだがこれは普段使いの状態であり…

付属パーツで52リットルへ拡張できるし35リットルにも簡単に戻せる。動作音も静かで、カタログ値ではエンゲルより3割ほど低燃費である。Bushman Fridgeは約1400ドル。最初からこれにしておけば書い直しで数百ドル損することもなかった。


次回は、「どうやってこの冷蔵庫をエンジンがオフの間もずっと動かしておけるか」の話。

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