Site icon 【公式】オーストラリア唯一の日本語専門バードウォッチングガイド 太田祐(AAK Nature Watch)

入手困難300系ランドクルーザーでオフロードを2500km走ってみました

300系ランドクルーザーでオフロードを2500km発売から2年以上経っても世界中で人気爆発で、日本では納車まで4年必要、受注停止、といった社会現象になっているランドクルーザー300。その主要な市場である中東やオーストラリアでは入荷数はもっと多く一年くらいの待ち時間で納車されると聞く。1000万円を超える車ながらオーストラリアの所得はケアンズなどの地方部でも日本の感覚の2倍近く、シドニーなどの大都市部では4倍くらいあるイメージなので別に高くないと思う。

今回ヨーク半島への10日間のツアーで使用する機会があり、合計2500kmのガチのオフロードを5人乗車で走り回った感想を報告したい。なお比較対象は仕事で時々使う70系ランドクルーザーと所有している150系プラド。

オーストラリア仕様なので、野生動物との激突から車を守るトヨタ純正のブルバー(よく日本人がカンガルーバーというけどそれはオーストラリアでは使われていない和製英語)がつき、ごくごく短時間なら水深1m程度までの走行を可能にするシュノーケルがついている。

シュノーケルは製造元をみなかったけどもしかしたらそれもトヨタ純正かもしれない。シュノーケルは日本の結構車が好きな人達の間でも「マフラーの代わり」と思っている人が圧倒的なのはツアーガイドをしていて確認済みだけどそれは大間違いで、正しくは高い位置にある空気取り入れ口である。エンジンがかかっている限りマフラーは水没しても構わない。

なお5人フル乗車で2500kmオフロードを走っているので、パンクもし車内も土埃まみれのガチのレビューです。というか本来そういう用途の車なので、都内を数十キロ走った程度で書かれるレビューとは世界が違う。

まずオーストラリアのフリーの野生動物ガイドとして最優先になるのが後部座席乗客の快適性。写真の通りシートの質は高く、大きくリクラインしており素晴らしく快適。デュアルキャブのピックアップなどにみられるそりたった後部座席とは全然違う。この辺はプラドも優秀だけどそれよりもさらに広く「オーストラリア人を横に3人並んで座らせて数百キロ走っても苦情が出ない」レベルになっている。これはいつも悩みの種で、プラドでは狭すぎ、70系ランドクルーザーでも苦情が出る。

後部座席を跳ね上げた状態。ただモノではないくらいの座席の厚み。まあそりゃあ快適なわけで。ただこれだけ厚みがあると跳ね上げても結構場所をとってしまう。私を含む、一部の仲間内の間でとても重要な基準である「車内で足を曲げることなく眠れるか?」という点に関しては

身長175cmの私だと残念ながらギリギリ無理で、斜めになる必要があった。この点はプラドやXtrailのような折りたたみ式には敵わないですね。ただトランクの広さは相当なもの。プラドは圧倒され、70系ランドクルーザーよりもさらに奥行きがある。これはすごい。巷では「200系ランドクルーザーより若干ちっちゃくなってしまった」と不評なのだけど中の広さは変わってない感じ。

2500km走って実燃費はリッターほぼ10kmで、フル乗車の未舗装道路だったとはいえちょっとパッとしない感じ。満タンにしても800km強しか走らないことになり、同じV6である現行のプラドが満タンで1600km走る最強のツアラーなだけにランクル300にははもっと走ってほしかった。

USB-PD端子があるのはいいですね。シフトレバーは短く、シフトダウンをよく使う私には違和感。

プラドは後部座席のここにエアコンのオンオフスイッチがあり、後部座席でちょっと人が動いただけで簡単に触れてオフになってしまう凡ミスがある。真ん中席に誰か座っている場合はエアコンをオンに維持するのはほとんど不可能だろう、というくらい簡単に触ってしまう場所にそれはある。さすがにランドクルーザー300では改善されていた。


【暫定的結論】フリーのオーストラリア野生動物ガイドとしてはランドクルーザー300は弱点が何もない車で、標準グレードでも1200万円を超える値段さえ問題ないなら万能。オーストラリア人に後部座席に3人並んで座ってもらう必要のない人や、冷蔵庫や大型カメラ機材といった荷物がない人、最低地上高にシビアでないなら現行のプラドでも十分だと思う。私のは一世代前だけど今のプラドは本当に名車。70系ランドクルーザーはその変態的最低地上高とV8のパワー(特に上り坂)で、奥地での動物調査やプライベート遠征カーとしてまだ活躍の余地は残っている。ただセントラルロッキングがない、手動くるくるウインドウ、檄弱ハンドブレーキ、後部座席にはエアコンの吹き出し口がないとかは1000万円する車としてもう本当にいい加減にしろ。

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