なお超望遠野鳥写真撮影でも動画ではなく静止画撮影においてはあまりその利点は活かせず、昔から持っているジンバル雲台の方が安くて軽くて小さい。もっと言えばビデオ雲台でもボール雲台であっても大きな支障はない。そもそも私はロクヨンにテレコンをつけても終日手持ちで行けるくらいの体格があるので三脚自体持ち出さないことの方が圧倒的に多い。ただジンバル雲台やボール雲台では動画は撮れない。動かさない構図ならいいけど、動かせば動きすぎてしまいあるいは急停止し(ジンバル)、あるいは動き出しで必ず突っかかりがある(ビデオ雲台)。超寒冷地では凍ったりする(ビデオ雲台)。それらを解決するのが元々業務用ビデオカメラで使われていたザハトラ雲台になる。
一つだけ残念なのはザハトラはビデオカメラの分野が出身ということもあって、静止画撮影の世界で一般的なアルカスイス規格をしていないことだ。そのためザハトラのプレートの上にアルカスイス規格のクランプを追加して使っている人がほとんどだけど、そうすると重心がズレる、重くなる、振動発生源になる、接地面積が小さくなるなど悪いことがズラズラ出てきてしまうのが問題だった。それでもザハトラを使うメリットの方が大きいので世界中でみんなそのまま使っているのだけど『ザハトラ雲台をアルカスイス化する改造をしてくれる工房がありますよ』と取引先の人に教えられてそれに飛びついた。写真はその改造後の姿だ。これでアルカスイス規格のレンズフットをしているレンズをそのまま何も仲介せずザハトラ雲台に載せることが可能になった。日本にはすごい独自技術を持つ工房があるものだ。バイクの部品から削り出して造るらしく、納期は2週間。私は帰国前から工房へ雲台やパーツを郵送しておきすぐに受け取ることができた。じゃないと免税にならないので。