Site icon 【公式】オーストラリア唯一の日本語専門バードウォッチングガイド 太田祐(AAK Nature Watch)

オーストラリア現役野鳥ガイド4人からみた最近のバーダー

古くからあるケアンズの郊外のロッジにキングフィッシャーパークというのがあり、現オーナー夫妻はオーナーになる前から二人とも野鳥ガイドをしていた。それが先日ガイドはもう辞めたと聞いたので直接話す機会があったので理由を聞いてみた。多忙だから、とか腰痛が悪化、といった返事を予想していたのだけど辞めた理由は『依頼者が近年(バードウォッチャーではなく)野鳥写真ファンばかりになってうんざりしたからだ』『ガイドされるのに必要な最低限のスキルを持っていない人が多すぎる』ということだった。

バードウォッチャーと野鳥写真ファンは何が違うのか?バードウォッチャーとは双眼鏡、図鑑、時には望遠鏡ももち、自分で鳥を見つけることができ、鳥の種や分類、分布、鳴き声に関しても知識がある。対して野鳥写真ファンは程度の差はあれ鳥を自分で見つけることが苦手で、図鑑も望遠鏡も持っておらず極端な人だと双眼鏡すら携帯していない。鳥の種や分類、分布、鳴き声に関しても通常非常に限られた知識しか持っていない。このタイプの人はガイドが「15m先の白っぽい木の4時方向の枝、枝先から50cm中央に向かったあたりにいる」とこれ以上ないくらい具体的に指示されてもわからない人が多い。ガイドとしてうんざりするかどうかはその人や言動にもよるけど、私も先日5m頭上にいる40cmある動物(コゲチャリングテイル)を教えたら「遠い」と言われてキレたことがある。5mしか離れていないところにいる40cmもある生き物が遠いというなら室内でペットや水槽の写真でも撮るしかなく、野生動物撮影なんて直ちにやめるべきだ。

というようなことを時々一緒に仕事をする今オーストラリアで一番多忙なガイドSに話をしたら彼も『うんざりするかどうかは相手によるが(同感)、ある程度それはあってる。探している鳥の種や分類、分布、鳴き声に関して何もわかっていない人が多くなった』と回答した。アレを見たい、撮るまで帰れないとか言っておきながらその鳥の声や分類の変遷、分布の範囲など何も知らず、単にモノとしてリクエストだけしているという意味だ。

ケースバイケースながら、ガイドされるのに必要な最低限のスキルを持っていない人がリクエストを連発したり、遠いだ速すぎるだなんだ言うとガイドをイライラさせる可能性が高いことがオーストラリア現役野鳥ガイド4人の発言から伺える。実際に最近二人がそれで辞めた。

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