Site icon 【公式】オーストラリア唯一の日本語専門バードウォッチングガイド 太田祐(AAK Nature Watch)

オーストラリアの不思議な物〜2【エンゲル車載冷蔵庫】

エンゲル車載冷蔵庫

オーストラリアにて圧倒的なシェアと信仰を集める日本製品の一つ、エンゲル制車載冷蔵庫(日本名:サワフジ工業)。ランドクルーザーやハイラックスのお供として、オージーがエンゲルを愛用しておりキャンプなどで数台集まるとエンゲルでないのは1−2台であとは皆エンゲルという高いシェアを誇ってる。

まず、なぜ車載冷蔵庫がそれほどまでに普及しているんだ?という点から日本人には説明が必要かもしれない。彼らが一番活躍するのはキャンプの時でそれはオーストラリアの国民的趣味。日本でのそれのように週末の1−2日を過ごすのがキャンプではなく一般的には家族連れなら1−2週間、リタイヤ層なら1−2年またはそれ以上の期間キャンプが続く。週末キャンプのように自宅であらかじめ凍らせた氷をクーラーボックス詰めて対応という次元ではないので車載冷蔵庫は多くの家庭にある。そもそも、世界最低の人口密度のオーストラリアで氷を買えるようなコンビニもショップも多分数十キロ彼方である。そんなのを連日買いに行っていられるわけがない。

日常生活においても最寄りのスーパーまで車で30分、いやウチは1時間よ、といった環境はオーストラリアではけっこう普通なので、その際にもアイスクリームや生肉、冷凍食品などが帰宅するまでに溶けるのを防ぐため日頃からトランクに積みっぱなしの家庭もある。デカくて重いが、オーストラリアには軽自動車は存在せず中型大型車しか走っていないのでその辺は問題ない。(*エンゲル冷蔵庫が駆動するのはエンジンがかかっているときだけなので、駐車中やキャンプ中でも電力を供給する「デュアルバッテリーシステム」についてまた別の機会に)

ホームセンターなどでも売っているような「シガーソケットにつなぐクーラー」とエンゲル冷蔵庫との大きな違いの一つにその冷却力がある。気温45度の砂漠においても強力に冷却し4−5度の適温を維持する。時間をかければ最大マイナス20度にまで達する。それは家庭のフルサイズ冷凍庫と同じパワーである。音は少し大きい。家庭用コンセントにつないでも使えるので、普段は第二の冷蔵庫や冷凍庫としてキッチンで活躍している家庭も知っている。


私が持っているのはMT45FCP Combiという最新型で、半分を冷凍庫、半分を冷蔵庫として運用したり、シンプルに全体を冷蔵庫として運用することもできるタイプ。樹脂製のコピー品なら数百ドルで買えるなかで、$1500もする鉄のエンゲル冷蔵庫が市場を支配し続けているのは、鉄製冷蔵庫としてのその異常な耐久性にある。周囲には30年同じエンゲル冷蔵庫を使い続けている仲間も複数いるし、ピックアップトラックの荷台に固定され、土埃や大雨をかぶりながら走り続けているエンゲル冷蔵庫もケアンズでさえよく見かける。メーカーは防塵防水であるとは一言も謳っていないが、事実として防塵防水防振性能を持っているのだろう。

 エンゲル(日本名:サワフジ工業)公式:https://www.engelaustralia.com.au/ebook/guide_2016/index.html#p=1

約25kgもあるエンゲル冷蔵庫は今日も水とビール、オージービーフを積んでオーストラリアを走り続ける。車も、人間も全体的に日本よりも大きいオーストラリアで高い支持を集めるのは、重くても高くても「ひたすら壊れないモノ」だ。

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