Site icon 【公式】オーストラリア唯一の日本語専門バードウォッチングガイド 太田祐(AAK Nature Watch)

オーストラリアの不思議な物〜1【ロードキル】

オーストラリアの変わった物〜【ロードキル】

英単語のロードキルとは、道路で車にはねられて死んでいる様々な野生動物のことだ。

オーストラリアも東海岸沿いの普通に人間が暮らしているエリアを離れればロードキルは極めて一般的な存在で、ちょうど日本において道路にペットボトルが落ちているのと同じくらいの頻度でカンガルーやフクロウ、ヘビ、牛、イノシシ、ハリモグラなどが轢かれて血だらけで横たわっていたり、ペシャンコに潰れているのを見る。オーストラリアではその膨大な量のロードキルを行政がいちいち片付けないので、それらはまた他の野生動物が食べるか、何百台の車に追加で踏みつぶされて地上から消滅するまで道路に横たわっている。オーストラリアの人にとってロードキルは道路にペットボトルが転がっているくらいの普遍的な存在なので特に反応がないが、海外、とくにハエが居るだけで声を出すような無菌室育ちの国の人々には衝撃的なものらしい。オーストラリアの郊外では人間と動物が共存しているのではなく、動物が大量に暮らす原野にごく僅かな量の人間が紛れ込んでいる状態といったほうがいい。衝突は避けられない。ロードキルを肯定しているわけではないが、地球にて最も人口密度の低い国の一つであるオーストラリアの更に僻地において、あまり非現実的なことを主張しても意味がない。

写真の商品、「ロードキル」はそんな轢き殺された動物類をジャーキーにしたものとされている。初めてこれを見かけたのはダーウィンの郊外でまあ観光ルートといえば観光ルートなので(すごいギャグお土産を作ったなぁ)と思っただけだった。ところが、後日ケアンズ郊外の地元の人以外誰も入らない静かな食品スーパーで普通に「ロードキル」が売られているのを見て驚愕した。普通に食べるんだねぇ。でも素材や品質、味はバラバラになりそうだけどどう管理しているんだろう。この破片はワラビーだけどこの部分はヨーロッパアナウサギよ、とか。というか、そもそも誰がどこで動物の轢死体を日々回収しているんだろう?

Exit mobile version