ケアンズ西部に広がるアサートン高原。本来は熱帯雨林が広がっていたこの高原は第一次大戦後に大きく開拓され、現在のような放牧地となった。肉牛だけでなく、画面右端には乳牛も写っている。
牛先生の講義によれば、オーストラリア北部には乳牛(酪農)はその暑さと砂漠のために壊滅的に乏しく、地図右上のアサートン高原以外ではほとんど存在していないことがわかる。
さすが国土の7割が砂漠に近い国。一枚目の写真のような緑の景色はアジア人はそれほど反応を見せないが、小躍りするのはオーストラリア、アメリカ西部、中東や北アフリカなどの水や緑の少ない地域の人だ。
オーストラリア大陸の北三分の一において酪農が存在していないとなると、この広大な地域(日本7−8個分)の牛乳はアサートン高原の肩に、いや牛にのっかかっている。アサートン高原のマランダやミラミラを出発したミルク保冷車ははるばる地平線の果てダーウィンまで往復7000kmにも及ぶ配達に出発だ!これは世界最長の牛乳配達としてギネスにも載っているらしい。もうバカバカしすぎるよ。輸入した方が早いって。
オーストラリア北部とはそれほどまで一種過酷な世界である。地球で最も人口密度の少ない土地の一つという真価を発揮。そんな中で緑や水が存在するアサートン高原は幸運な土地で、だから牛も生きていられる。
なおこの風景は友人の家を出たあたりの景色だ。彼も幸運な男だ。